◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇  日本図書館情報学会 メールマガジン     No.224 (2011/5/24)         日本図書館情報学会総務委員会         E-mail: tnozue@ephs.aoyama.ac.jp(総務委員長宛)         WWW: http://wwwsoc.nii.ac.jp/jslis/index.html ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ■目次 ◆声明文「学校図書館復興支援声明(案)」について(呼びかけ) ◆講演会「あらゆる知識へのユニバーサルアクセス―誰もが自由に情報ア  クセスできることを目指して」(日程変更)について(ご案内) ◆九州大学創立百周年記念講演会「新しい時代の情報図書館学へ向けて」  について(ご案内) ――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆声明文「学校図書館復興支援声明(案):被災地の学校図書館復興のた  めの予算措置を〜知と心の学習センターの再構築を目指して〜」につい  て(呼びかけ) 学校図書館の復興支援について,以下のような声明を発表することを考え ています。学校図書館領域の研究および教育を本務とする方でご賛同いた だける方は,発起人までご連絡ください。 発起人:河西由美子(玉川大学) 連絡先:ykasai@edu.tamagawa.ac.jp ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  学校図書館復興支援声明(案)  被災地の学校図書館復興のための予算措置を  〜知と心の学習センターの再構築を目指して〜  2011年3月11日(金)に発生した東日本大震災は,本震後1カ月が経過し てもなお被害の全貌がつかめず,復旧および復興作業の長期化が予想され ています。  本声明は,被災地の学校再建の過程において,学校教育に必須の施設と しての学校図書館が十分な復興のための支援を受けられるよう,学校図書 館研究や学校図書館司書教諭養成に携わる専門家によって作成されたもの です。  学校図書館復興への課題1: 担当者の不在  読書が子どもの知的発達や情緒の涵養に有効であることは,今回被災地 の子どもたちに本を送る活動が,国際機関や出版業界,ボランティア団体 など複数のルートで速やかに実施されたことからにも見られるように,社 会的に広く認知されています。しかしながら義務教育の児童生徒が必ず毎 日通う学校内にある図書館について,日本では必ずしも先進国として十分 な整備が行われてきたとは言えません。  たとえば学校図書館法によって専門的な職務を掌ると規定されている唯 一の存在「司書教諭」でさえ,その配置は全国約40,000校の60%に留まっ ており,大半が兼任配置です。岩手・宮城・福島の3県に限れば,司書教諭 の発令率は全学校数の44%であり,半数以上の学校には司書教諭が配置さ れていません(平成19年度文部科学省「学校図書館の現状に関する調査」)。 こうした常態が示唆するのは,被災地域の学校図書館の半数以上には明確 な担当者が存在せず,学校図書館復興に必要な措置を求める声が学校現場 から上がる可能性にほとんど期待が持てないという厳しい現実です。担当 者不在の学校図書館には,復興のための十分な財源が確保・配分されない 怖れがあります。  学校図書館復興への課題2: 専門団体の不在  日本は,過去20年間に阪神淡路大震災・新潟中越地震といった大規模地 震を複数回経験しています。しかしながら過去のいずれの災害においても, 被災した学校図書館に対する組織的かつ専門的な復興支援が実施されたこ とはありませんでした。その理由として,日本には欧米先進国のような専 門職制度・団体が確立していないことがあげられます。専門職の結束によ るボトムアップ型の支援が成立しにくい現状は,こうした日本の学校図書 館界の構造的な問題に根ざしています。しかしながら制度や団体の構築を 待っていては,今回の復旧・復興には間に合いません。このままでは,被 災した学校図書館は専門的な知見に基づく十分な復興予算や措置を望むべ くもなく,被災地域外の学校との学習環境格差がますます拡大していくこ とが懸念されます。  学校図書館復興へのビジョン  東北全体の復興計画に関しては,政府の専門会議が議論を始めました。 東北地方の学校復興計画に際しては,平時の学校機能を取り戻すことに加 え,児童生徒に対する  (1) 困難から立ち上がるために必要な科学的知識,信頼性の高い情報の    入手を可能にする情報アクセスの保証  (2) 未来へのビジョンを描くための構想力を養う豊かなメディア・情報    源の提供 が切に望まれます。その実現のために,  東北被災地域の学校図書館を「知と心の学習センター」と位置づける新  しい学校図書館ビジョンを策定し,学校の復興計画の中に明確に位置づ  けること を要望いたします。  本声明に賛同する以下の者は,これらの被災地域学校図書館の復興計画 のために,経験と専門知識を提供し,計画の策定と実施を支援する用意が あることをここに表明します。 平成23年4月23日  発起人 河西 由美子(玉川大学 通信教育部・教育学部 准教授)  賛同者(順不同) ――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆講演会「あらゆる知識へのユニバーサルアクセス―誰もが自由に情報ア  クセスできることを目指して」(日程変更)について(ご案内) メールマガジンNo.219でご案内し,その後,中止とお知らせしていた標記 講演会(国立国会図書館による開催)が新たな日程で開催されることとな りました。詳細は下記をご参照ください(すでに申込みは終了しています)。 http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/20110524lecture.html ――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆九州大学創立百周年記念講演会「新しい時代の情報図書館学へ向けて」  について(ご案内) 九州大学では、このたび創立百周年記念講演会として、下記の日程で国立 国会図書館の長尾真館長をお招きし、電子書籍をはじめとする多様な情報 基盤サービスが広がりを見せる新時代における、これからの図書館と図書 館学のあり方についてご講演いただきます。図書館関係の方々のみならず、 研究者や一般の方にとってもたいへん興味深い講演となりますので、どう ぞご参加ください。 【講師】長尾 真氏(国立国会図書館館長) 【日時】平成23年6月11日(土) 15:00-17:30 【場所】九州大学箱崎キャンパス 中央図書館4F視聴覚ホール 【主催】九州大学 【企画】文学部/大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻/附属     図書館 参加申込みは申し込みフォームから ※定員になり次第申込みを締切させていただきます。 http://www.lib.kyushu-u.ac.jp/events/20110611.html お問合せ  九州大学附属図書館 図書館企画課企画係  電話 092-642-4264 / FAX 092-642-2330  E-mail:kikaku@lib.kyushu-u.ac.jp ――――――――――――――――――――――――――――――――― ・このメールマガジンは,図書館情報学・図書館等に関する情報提供を主  な目的として,不定期に発行されています。 ・記事の掲載依頼については,総務委員会までご連絡ください。掲載まで  に一定の時間がかかる場合や掲載できない場合もあります。 ・このメールマガジンは,等幅フォントで最適化されています。 ・メールマガジンのバックナンバーは,以下にあります。 ■■