日本図書館学会設立の趣旨 昭和27年(1952)4月28日発表 |
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国立国会図書館の設置・図書館法の公布・学校図書館の設置と充実等、戦後一連の動きはわが国図書館活動の近代化とその活発化を語っております。 これに伴って、新しい技術と有能な専門職員が強く求められ、従来文部省図書館職員養成所一ヶ所だけだった図書館職員養成機関も、ここ一、二年間に急激にふえて、二十に近い大学に図書館学の学科又は講座が開かれております。 これに呼応して、図書館員が結成する団体も、古い歴史のあるものに加えて次々に発足を見つつあります。 このような事実は、社会的要請に応えた図書館界の必然的な歩みとみられ、且つこの傾向は今後一層盛になると考えられます。 しかしながらこのような現象は、基礎になる技術と理論すなわち図書館学の樹立と展開と裏ずけなしには、到底見事な結実は期待できないでありましょう。 図書館学研究の現状は、個人として又は共同しての研究の意慾はみられますが、日常の雑務に追われ、且つ資料の不備並に経済的に恵まれない事情等のために遅々として進まないどころか、むしろ萎縮しつつある実情であります。 この際これらの障害を排除して堅実で効果的な図書館学研究の足場を築くため既設の図書館関係団体の持つ研究機能を結集して一本にし、大学その他の関係者と個人研究者をも加えて新に学会を設立し、研究活動の相互援助と応分の助成の途を開くことがいかに必要であるかが痛感されます。 既存の各団体は、従来以上に夫々独自な活動を続けながら、研究面だけの全国的な連絡機関の結成を目標にするものであります。 幸にしてこの学会が発足できますれば、他の学界の進歩に伍して図書館学の新分野を開拓し、日本学術会議に代表者を送ると共に国家の研究助成金獲得のためにも有利な地歩の確立が期待されます。 以上の趣旨をおくみとりの上、進んでご参加下さるようお勧めいたします。
昭和二十七年四月二十八日 日本図書館学会設立発起人一同
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