開会の辞 | 発表I(倉田) | 発表II(大森) | 発表III(三輪) | 質疑応答
::: 開会の辞 :::
池内(司会)
それでは、質疑応答の時間に入りたいと思います。
発表者の方も含めて会場にいらっしゃるどなたからでも質問・コメントを受け付けさせていただきたいと思いますが、記録をとっておりますので、発話はできるだけはっきりと大きな声でしていただきたいということと、ご所属とお名前をご質問・コメントの前にしていただければと存じます。
それではどなたでも、どなたに対してでも結構ですのでご質問・コメントがございましたら挙手をお願いします。――ないですか。
三輪先生、3台の機器をそれぞれお使いになったということで、ものすごく低レベルなお話で恐縮ですが、それぞれどのぐらいのお値段がするものでしょうか。
三輪(指定討論者)
あまり違わなかったように思います。帽子型が一番古くて、その後あご台つきが出てきて、最後にVoXerというので、あご台つきとVoXerはほとんど変わらないのですが、帽子は私が買ったわけではないのでちょっとわかりません。
いかがでしょうか。
池内(司会)
何百万ですか。
倉田(発表者)
あご台が多分一番古いと思います。
同じ機器の種類でも時期によって違うので、あご台だからどうこうではなくて機器の性能の問題ですね。
池内(司会)
VoXer的には幾らぐらいですか。
倉田(発表者)
正規の値段はいろいろでしょうけれども。
池内(司会)
すみません、では後ほど、調べさせていただきます。
それではほかの皆さん、ぜひご質問・コメントをよろしくお願いします。
安形(亜細亜大学)
亜細亜大学の安形です。
授業の関係で少し遅刻しまして申しわけありませんでした。
マンガの読みにおけるというところで、倉田先生と大森先生に伺いたいのですが、マンガのフキダシ以外のところで「シャー」とかいう擬態語とか擬音語がよくあると思うのですが、ああいうものに対する停留はどのぐらい出てきたのか、なかったのか、そういうことを伺いたい。
実際に、いま日本のマンガは海外等に翻訳されていると思いますが、そういう擬音語とか擬態語はなかなか翻訳ができないのでそのまま残ることがある。
例えばそういうところに結構停留しているのであるならば、輸出したときに読み方に違いが出てくるのかなと。フキダシが横書きとかで変わったりするときもあると思いますが。
その点を伺いたいのと、あと質問を全部一気によろしいですか。
池内(司会)
では、今のご質問を大森先生でよろしいですか。
大森(指定討論者)
擬態語とか、いわゆるオノマトペと言われるようなもの、要するにフキダシ以外の文字情報とか書き文字については、実は今回の実験ではあまりデータがとれていません。
なぜかというと、こういう分析をやるときには、比較的コマの動きが落ち着いた、四角いコマできっちり構成されていてあまりはみ出したりしないものを使うのが一番とりやすいので、そうするとどうしてもあまり擬態語とかが出てこないマンガを多く使うのです。
アクションシーンがいっぱいあったりするとそういうのもたくさん出るでしょうが、今回使ったもので擬態語は幾つぐらいありましたか。
ほとんどなかった。
倉田(発表者)
普通、擬態語はあるのですが、結局それはもう背景と区別がつかないのです。
それが擬態語だという同定がすごく難しい。
大森(指定討論者)
例えば何か物が落ちるときに「ゴトッ」という音が小さく書いてあるところがあると思うのですが、そういったところには停留と言えるほどの停留はあまり見られなかった。
一応分類のときにそういった部分についての分類もカテゴリとしては設けてはあったのですが、ほとんどデータにはなりませんでした。
それほど頻度がなかったということです。
ですから、もっとそういった擬態語がビジュアルに意味を持つようなマンガを読めば違ってくるのではないかと思います。
そのあたりのマンガを使うと、ひょっとするとそうした要素が重要となり、向こうで翻訳したときにどういう意味を持つかというのが随分変わってくるのかもしれません。
池内(司会)
では、引き続きご質問がおありでしたら。
安形(亜細亜大学)
ほかの方によろしいですか。
池内(司会)
もうどんどん一気呵成にお願いします。
安形(司会)
あと三輪先生に伺いたいのですが、ビデオで特徴的な停留をしているような部分でとめてインタビューを行うというお話がありました。
どういうような基準でとめる場所を決めてインタビューをされるんですか。
三輪(指定討論者)
まず第一にアクションです。
ですから、クリックをするとか、あるいはキーワードの入力をするとか、検索ボタンを押すとかお気に入りに入れるとか、そういうものは必ずとめて聞きます。そのほかにブラウジングの途中というのは、なかなかどこと言えないのですが、やはりじっくり読んでいるように見える部分であるとか、長く停留しているような部分というのは聞くようにしています。
ただ、それはインタビュアーが恣意的に選んでいると思います。
安形(亜細亜大学)
ありがとうございます。
というのも、多分すごく長いインタビューになると思うのですが、そのときに後半になるに従ってインタビュアーも被験者の方も疲れていくのではないかと思いまして、何か基準が明確にあってやっていらっしゃるのか、それとも最初のほうではかなり詳しく伺うのか。
基準があれば最初も最後のほうも多分変わっていかないと思いますが、ある程度その人の癖なり何なりでこういうところに停留していくというのがわかっていけば、もう聞かなくてもいいような部分も出てくるのかなと。
単に基準をどうやって選んでいるのかと思ったものですから、すみません。
あと、携帯電話で縦読みというお話があったのですが、携帯電話は普通小さい画面のままですと一目で全部が見られるとは思いますが、画面に出した場合には一目でおさまらないといったときに、大分違いが出てきたりはしないものでしょうか。
三輪(指定討論者)
画面に出てきたときは、確かにかなり大きく出しているのですが、ただ結構距離があります。
実際に遠くにあるから、手元で見ているのと比べて倍ぐらいでしょうか。
わかりますか。
安形(亜細亜大学)
はい、わかります。
どうもありがとうございます。
池内(司会)
ほかにどなたかございますか。
寺井(名古屋大学)
名古屋大学の寺井です。
倉田先生に質問です。
OPACの画面の見方のパターンの結果をお見せいただいたのですが、タイトルを中心に見ているという結果だったと思いますが、OPACの検索画面では結局、自分が入れたキーワードに関する情報を探す、見つけようと思っている対象に関係したキーワードがあるかという探索になるかと思います。
そうすると、タイトルを見るというのが要するにキーワードをピックアップしてくることになるわけですよね。
倉田(発表者)
その辺は大分省略した話にしてしまったので、少し誤解を招いたかもしれません。
実験ですので、キーワード等も全部こちらが決めたものでやっています。
参加してくださった方たちに渡っている情報は、今回ですと例えばこういう本を探していますという話ですので、そこのところのキーワードは確かにわかっています。
そのキーワードに合っているものを探しているはずです。
寺井(名古屋大学)
そうですよね。
そうするとやはり、OPACの情報はタイトルと出版事項と著者でしたか。
倉田(発表者)
あと、どこにあるかです。
寺井(名古屋大学)
そうすると、やはり探すものというのはタイトルの部分から探すのがメーンになるのかと思って、例えばウェブだとスニペットがあったりします。
今回のタイトルを中心にというのは、見つけようと思って想定するものがタイトルにしかないから、タイトル中心になりがちで、今回使われた実験刺激に非常に依存したものになるのかという気がしました。
眼球運動を使って見るという、今回視線パターンということであるプロセスを分析されていますが、例えば探索の前半と後半でそれがどう変わってくるのかということはなさっているのでしょうか。
倉田(発表者)
前半と後半というのは、探索プロセスの全体の中でですか。
寺井(名古屋大学)
プロセスの全体の中でそういったパターンがどう移り変わっていくのか。
倉田(発表者)
今回は全くそうではなくて、どちらかというと問題を解いているということだと思います。
つまり探索というのではなくて、こちらが指示した一定の課題を解いて、その課題に合ったものを回答するというプロセスです。
今おっしゃったようにキーワード的にはそれはタイトルにしかありません。確かにタイトルを見ないということはあり得ないと思います。
ただ、タイトルをほとんど見ない場合もあります。
要するにすごく長くタイトルを見ているタイトルもあれば、見た瞬間にもうすぐ次に行ってしまうものがあります。
つまり、それは見た瞬間に素早い判断で違うと思えば、もうほぼ見ません。もう一つはタイトルだけでは判断できません。
寺井(名古屋大学)
それは今回の課題がということですね。
倉田(発表者)
課題としてタイトルの情報だけでは不十分なので、ほかを見てくれないと解けない問題につくってあります。
ところが、こちらとしてはそちらに誘導しているのですが、そのほかをあまり見てくれないのです。
寺井(名古屋大学)
それは例えば前半では見ないけれども、後半になると絞り込んでいくような形で見るというようにパターンが変わってくるというわけでもなかったということですか。
倉田(発表者)
それが人によってかなり差があって、きれいなパターンは出なかったということです。
一覧画面を見た後で、詳細画面を当然私たちは見にいくことを期待するわけです。
そういう課題にしてあるので、詳細画面を見ないと答えは絶対に出ないのです。
ところが、一覧画面を見て終わってしまう人がいます。
そこでどうして終われるのかがよくわからないのですが、要するにそういうことです。
ですからその辺のところで、今回のは課題としてはすごく単純な探索なのですが、実際にやっていることはやはりかなりいろいろなパターンがありまして、時間は短いですけれども、1人数分から長くても20分はかかっていないと思います。
3本あって20分かかっていなくて、そういう意味では1課題本当に数分なので、前半、後半で分かれるほど長くありません。
寺井(名古屋大学)
ただ、課題としてはタイトルだけでは解けない課題になっているということですよね。
倉田(発表者)
はい。
寺井(名古屋大学)
わかりました。
池内(司会)
どうもありがとうございました。
それではお時間を過ぎてしまいましたので、この辺でおしまいにさせていただきたいと思います。
発表者の皆様方にぜひ拍手をお願いします。(拍手)
これをもちましてEBAのワークショップは全7回で終了させていただきたいと思います。
皆様、本当にどうもありがとうございました。
― 了 ―
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