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::: 発表T(長谷川豊祐氏:前半) :::
長谷川(発表者)
鶴見大学の長谷川です。
今、慶應義塾大学大学院に通っております。(以下、パワーポイント使用)
今、画面にありますように、修士論文のほうでフォーカス・グループ・インタビューを使った、「大学図書館業務電算化における課題の解明」という調査を行いました。
これについて、理論というよりはどちらかというと実践面を中心にご報告いたしたいと思います。
「本日の内容」ですけれども、まず調査対象となっています大学図書館業務電算化について簡単にお話をいたします。
その後、フォーカス・グループ・インタビュー(FGI)について簡単な概要をお話しし、実際にどういうふうにデータを収集し、4番目でどういうふうにデータを分析したかというようなことをやって、データを分析した電算化の構造の解明についても若干ご報告します。
最後に、フォーカス・グループといっても私も経験が非常に少ないんですけれども、実際に調査をやった結果を考えて、留意点と有効性について簡単にご紹介したいと思います。
まず調査の対象である「1−1 大学図書館業務電算化の現状」ということで、皆さん図書館関係者なので細かいお話はいたしませんけれども、図書館で本を整理したり、貸し出しをしたりといういろいろな業務をしているわけですが、そういった図書館の業務に大学図書館の業務の電算化システムをほとんどすべての大学図書館が使っているわけです。
そういうことで大学図書館業務においては、電算化のシステムはもう必須のものとなって定着しているという状況になっています。
みんなが使っているので、業務のシステムとして安定的に稼動していると認識されています。
それを今度、発展的に使って、インターネットや電子ジャーナルと一体化したサービスに向かおうとしています。
今現在、こういうふうに業務を支える自動化のシステムとして重要な役割を果たしながら、電子ジャーナル等々の新しいサービスのほうへもお手伝いをしているという状況になっています。
「大学図書館業務電算化の定義」について簡単に述べさせていただきますと、まずは本の単一の書誌データベースを持っているということです。
その書誌データベースを用いて、いろいろな複数の業務アプリケーションがコンピュータシステム上で動いていて、そのコンピュータシステムを導入すること。これが大学図書館業務の電算化になります。
業務のアプリケーションには、発注・受入業務、それとNACSIS-CATと接続した目録業務と雑誌業務。
単独で目録業務を行っている大学も若干はありますけれども、基本的にはほとんどすべての大学が、このNACSIS-CATと接続して業務を行っています。
それでOPAC、貸出業務等の基本モジュールがあるというふうになっております。
これが大学図書館業務の定義です。
「1−2 電算化の展開」。この電算化がどういうふうに大学図書館において展開しているかというと、まずは80年代以前に電算化が大学図書館業務に入ってきた段階では、閲覧や目録業務などの効率化、いわゆるオフィスオートメーションが当初の目的であったわけです。
これが今現在、インターネットを活用した利用者への直接サービスへ応用されようとしています。
業務の効率化から、サービスの高度化へ急速に業務システムのほうも対応している状況です。
そこで問題なんですけれども、いろいろな図書館の人たちに聞いてみると、こういうふうに高度化に向かって電算化が進展しているわけですが、電算化の効果や弊害について実ははっきりしたことがよくわからないと。
具体的に言うと、3年とか5年ぐらいのスパンでシステムを入れかえていくわけですけれども、入れかえていくたびにかなりのお金と労力がかかるわけですが、それに見合った効果があるのかどうかということを、別にだれもあまり気にしないで単純にリプレースを繰り返しているわけです。
そういったことで効果や弊害が未整理なので、その辺を調査してみようというのが今回の調査の目的になります。
ですから、大学図書館における目録や貸出、発注・受入などのハウスキーピング業務です。
いわゆる図書館の業務、図書館の利用者が利用するサービスはOPACがあるんですけれども、それ以外の、図書館員が本を発注したり支払いをしたり整理をしたりする、図書館員が使うシステムとしてのハウスキーピング業務の電算化について、その課題といろいろな問題点について解明しようというのが目的です。
「1−3 電算化における課題の構造解明」。どういうふうに調査を実施するのかというと、まずは電算化についての考え方や評価を調査課題として、複数の大学図書館員に対してフォーカス・グループ・インタビューを実施してみます。
その結果、収集したデータを、後でご説明申し上げますけれども、因果対立関係という分析方法を使って課題を概念図化してみる。
その概念図化した図をもとに収集データを解釈して、電算化の評価と課題解決の提言ができればと思ったわけです。
まずは「2.FGIの概要」ということで、定義と適用範囲、それと図書館へどういうふうに適用されているのかということをざっと申し上げます。
「2−1 FGIの定義」です。この後の方たちからもお話があると思いますけれども、特定の目的のために話題を用意して、その特定の目的に沿って比較的同質な少人数のグループを集めます。
その少人数のグループの人たちが形式ばらないで話し合う。
その話し合いの過程において、熟練した司会者のコントロール技術によって参加者のグループの中がいろいろ影響し合い、もしくは他人の発言に触発されて自分の考えを深めていくというグループ・ダイナミックスの場面をつくって、非構成的なアプローチによってデータを集め、それを分析する手法と。一口で言うとこういう感じになっています。
あとはやってみるとどんなものかがわかっていきます。
「FGIで得られるデータ」。こういうグループ・ダイナミックスを生かしたフォーカス・グループ・インタビューでどういうデータが得られるかということですけれども、単純に質問紙調査でどう思うかということを聞くのではなく、自分の言葉で語っていくわけですから、その設定した特定の話題について参加者自身がどういうふうに理解して、どういうふうに感じていて、どういうふうにそれを受けとめているかという広範囲な情報、もしくはそのテーマについての背景情報までも得ることができます。
そういうことで、探索的な調査に適していると言われています。
豊富な情報が得られる。テーマについて、それが今現在ある状況がなぜそういうふうになっているのかという情報についても得ることができ、課題の解釈に役立つような背景情報までも得ることができ、なおかつ我々調査者自身が想定していなかったような発見があると言われています。
「2−2 FGIの適用範囲」。どういう分野にフォーカス・グループ・インタビューが適用されているかということですけれども、マーケティング全般です。意思決定や製品開発、どういう製品がいいのかということ、顧客の満足、ニーズの評価、いろんなサービスや製品の品質の改善、職員・人員に対しての理解、質問紙調査等の補助的な調査手段としても用いることができます。
質問紙調査の設問をフォーカス・グループ・インタビューによって集めるということにも使われます。
「2−3 図書館への適用」。マーケティング分野で使われているフォーカス・グループ・インタビューが、図書館の分野でもいろいろ使われているわけです。教育ニーズとか専門職の役割、組織について、あと情報ニーズといったことで課題とニーズの探索によく使われています。
「2−4 大学図書館の適用事例」。
具体的にどういうふうなことに使われているのかを文献でレビューしてみます。
大きく四つに分けて、管理・運営について、サービス全般、個別サービス、最近のはやりでWeb関連の調査についても使われています。
レジュメの3ページですが、「a)管理・運営」面に関しては、イリノイ大学では図書館の目録セクションが効率的に動いているのかということを、その目録セクションの図書館員を集めてグループ・インタビューを行いました。それによって、どこに問題点があるのかということを抽出してきます。
連絡先リストの改善が必要だということ、それとやっぱり係員同士のコミュニケーションをもっと強くしなければいけない、目録の作成にかかわるプロセスについていろいろな問題点があるというようなことが出てきています。
次はカリフォルニア大学バークレーで、戦略計画の策定。
予算等々が少なくなってきているのでサービスの見直しをしようという場面で、フォーカス・グループ・インタビューを利用者に対して行いました。
学生がよく利用するサービスや、追加したいサービスをフォーカス・グループ・インタビューによって抽出してきました。
そうすると図書館ガイダンスをもっと強化してもらいたい、それから図書館の職員の支援がもっと必要である、それと開館時間の延長と蔵書の拡大。
当たり前といえば当たり前ですけれども、実際に図書館の利用者の人たちの意見を具体的に集めた結果がこういうふうなものになっているということです。
次は「b)サービス全般」についてです。
オクラホマ大学では図書館の満足度評価を何年かに一度やっていて、利用者の評価がどんどん落ちているという傾向が見られる。
それはなぜなのかということの調査を行ったわけです。
そうするとやっぱりコンピュータサービスに対して問題がある、コピーサービスももっと欲しい、図書館の人員が少ない、あとリレファレンスサービスについて拡大してほしいと。
こういったところに不満があるので、満足度調査が衰退していることがわかったということです。
「c)個別サービス」についても調査が行われています。
こちらはオンラインの目録のOPACの利用動向です。これも当たり前ですけれども、学部学生は主題検索をよく利用する、大学院生と教員は既知の著者や書名で検索をする、なおかつ大多数の教員はOPACを実はほとんど使っていないということがわかったということです。
トロント大学のほうでは、OPACの表示画面の評価をしていて、やはりテキストベースよりもグラフィカルな表示画面がいいということが、実際にそのインタビューの中からわかってきたということです。
最後に「d)Web関連の調査」についても行われていて、子ども向けのWebサイトはどういうふうに設計するといいか。魅力的な画面設計ということで、色とかグラフィックやアニメーションを使ったほうがいいだろう、キーワード検索と主題カテゴリーについても提供したほうがいい、最後には色と画像のパーソナライズ化を行うといいのではないかという、子どもたちを対象にしたフォーカス・グループ・インタビューが行われています。
幾つかの画面を見せてどれがいいかを比べていって、それをどう思うかということを子どもたちに聞いていったわけです。
「3.データ収集」。こういうふうにいろいろな場面でフォーカス・グループ・インタビューが図書館の現場でも使われているわけですが、では私の調査ではどういうふうに行ったのかということを細かく述べてみたいと思います。
まず二つ分かれていて、データ収集の後に分析があるんですけれども、データ収集に関しては企画段階、準備段階がありまして、実際にインタビューをこういうふうに実施しましたということです。
まずは「3−1 企画・準備」段階でどういうことを行ったかということですが、フォーカス・グループ・インタビューというものを実施するのは私も初めてですし、集まってくる人たちも初めてです。
結局、どういうふうな話が出てきて、どういうふうな進行になるのかということが実は全く読めません。
そういうことで、大枠の中でテーマに沿って焦点を絞った話を自由自在にしてもらうために、事前に大枠をきっちり用意するということをやっています。
こういうふうにちゃんと設計だけをしておかないと、話が散漫に流れていって、時間内にデータを集めることができないということもありますし、調査目的に沿った話題にフォーカスしていかないということもあるわけです。
ただ、やっぱり目的さえちゃんと絞っておけば、90分から120分でそのテーマについて参加者の人たちの思っていることは大体出てくるという印象です。
「a)調査計画書:目的の明確化」。
こんなものを用意したというのをごらんに入れます。
まずインタビューガイドです。これは事前に参加者の人たちにこういう目的でインタビューをします(ということをお伝えしました)。
図書館の電算化システムについての問題点を明らかにしたいので、それについて話し合いをしてもらいます。
対象については、図書館業務に詳しくて機械のことにも詳しい、それと業界事情にも詳しい人を集めなければやはり評価はできないということで、皆さんはそういうことで選ばせていただきましたということをお伝えします。
内容について、どういうことを聞くのか。
評価について聞きたいと。とりあえずはこういう計画書をつくっておきます。
次に「b)図書館と機械化の関係:話題の広がり」。
企画の段階では電算化というのも機械化という言葉を使っていましたが、図書館員と機械化の間でどういうふうな相互作用があったのかということを事前に考えておいてくださいということで、事前配付資料で配ってあります。
図書館員のどういった特性が機械化がうまくいくように働いたのか、逆に機械化が図書館の業務に対してどういう影響を及ぼしたのか、そういうことについてとにかく多様な発言を促すような仕掛けをつくっておきました。
「c)図書館の機械化:ハウスキーピングとOPACに枠組みを設定」。
多様といっても、あまり飛び火しては困るわけです。設定しているのはハウスキーピング業務に限定するということです。
ではなぜインターネットや電子ジャーナルが入らないのかということですけれども、そこまで広げるのはちょっと大変だろうというこちらの予想と、あとは電子ジャーナルやインターネット等についてはまだサービスの決まった形が定着していないので、単純にお話をしても私はこう思うというだけの話にしかならない。それは外そうということです。
それで絵をかいて、いわゆる図書館のシステムといっても利用者志向の電子ジャーナルやWebページ、最近はやっているリポジトリといったものはとりあえずは外しましょうということで、貸出や発注・受入、目録といった、我々が行う基本的な図書館員の業務をサポートするシステムの部分について語ってくださいと。先ほどは広く話しましょうと(いうことでしたが)、こちらでは焦点を絞っておくということをやりました。
次に「d)インタビューの実施手順:メンバーと会場の設定」。
これもいろいろ書かれているんですけれども、気持ちよく語っていただくことが必要だそうです。
事前に準備しておいて、席の位置もちゃんと決め、名札もつけ、大体開始する時間は仕事が終わった時間になるわけですから、当然、皆さんまだ食事はされていない可能性が高いということで、軽食を用意すると気分が和むということも言われています。
そういった細かいことをいろいろ用意して、手順書をつくって準備に怠りがないようにしておきました。
さらに「e)インタビューの詳細な流れ:進行のコントロール」。
ここでは詳細な流れということがありますけれども、インタビューの大枠をつくっておくということです。
何時に始めて何時に終わる、それは確実に決めておかなければいけませんし、最後には「ありがとうございました」と言うことも忘れないようにちゃんと紙に用意しておきます。
一応目安として自己紹介は何分ぐらい、本題のお話は何分ぐらい、最後に言い足りないことがあるならばそれを促すための時間も用意しておく。
大きな流れはつくっておく。ただ、基本は自由に語っていただくわけですから、こういうふうにつくっておいても、その場の成り行きによっては最終的に終わりの時間をずらさないようにして自由に語っていただく。
フレキシブルに対応はしていくわけです。
もう一つ、「f)インタビューの詳細な内容:調査内容の明確な伝達」は、グループ・インタビューを複数やったわけですけれども、そのときに話をする内容が違っていてはいけません。複数のグループに会が始まる場面においてお話しする内容、こういう目的でやるんだということは事前に準備しておきました。
「3−2 インタビューの実施」。こういうふうに準備をしていてインタビューに臨むわけですが、まずは参加者の選定です。
「a)参加者の選定と依頼」。
これはある一つの話題についてお話ししていただくわけですから、その話題についてはある程度一定の知識は持っているということで、同一の属性はある。
なおかつ語り合ってグループ・ダイナミックスが働かなければいけないわけですから、多様性もなければいけないということです。
それともう一つ機械化について語っていただくためには、機械化だけを知っている世代ではなくて、機械化以前も知っていたほうが機械化によってどういうふうな効果が生まれ、図書館業務がどう変わっていったのかということが見えるわけで、そうすると機械化が本格的に始まった20年前前後から勤めていた人が対象になります。
今回、13年から35年ぐらいの経験の方で、男性10名、女性2名を集めました。
どういう人たちかというと、前後の事情に詳しく、図書館関連のいろいろな状況についても詳しい人で、なおかつ国公私立のバランスもある程度とろうということです。
人数は6名で2組としましたので、大体大学が700ぐらいあるわけですけれども、それの国公私のバランスに合わせて、国公あわせて4名、私立が8名ぐらいの見当で集めました。
全国ネットで集めるわけにはいかないので、関東近辺に在勤・在住の方になります。
それと一つ気にしたのは、システム開発をした人はかなりシステムに詳しいわけです。
ですから開発側ではなくて、開発したとしても図書館の業務システムとして、そのシステムを使う一ユーザーとしての立場を堅持できる人を選びました。
「b−1)実施日と参加者(1/2)」。
2回実施したわけですけれども、こういった図書館の方たちに出席してもらいました。
1回目は4月に行って2時間。
「b−1)実施日と参加者(2/2)」。
2回目は6月に行ってNII(国立情報学研究所)の方、東京医科歯科、麻布、実践、東邦、早稲田。大学の規模は大きいところ、小さなところとばらついているんですけれども、規模で選んだというよりもその人たちの知識量、経験で選んでいきました。
「c)司会者と参加者の関係」。
選んだといっても、どういうふうにして選んだのかということになりますと、結局、私が調査をし、なおかつ人手が足りないので私が司会も行ったわけです。
本来であるならば、こういったものはリクルート担当する人間、司会をする人間というのは分担していたほうがいいわけですけれども、今回は1人でみんなやってしまったということです。
なおかつ、参加者はお互い同士知り合いでないほうが、その場限りの関係で好きなことが言えるというので知り合いでないほうがいいわけです。
ただ、やはり先ほども図書館の目録業務に関する調査の場面のお話をしましたけれども、その図書館の中における組織がどうかということをその組織の人に語ってもらうわけですから、それはすべてが知り合いであるということは必然的です。
そういった調査目的によって、お互い同士が知り合いであることもやむを得ないということが書いてありますので、知り合いでない、同じ図書館に勤めている人というのはいないわけですから、参加者が知り合いでもやむを得ないと言われています。
なおかつ、司会者が参加者全員と顔見知りであることもあり得るということです。
「d)参加者への事前連絡」。
こういうふうに参加してくださいと言って集めた参加者の人たちに、事前に連絡をいたしました。とにかく何時何分にどこに来てくださいということの案内です。
遅刻をした場合においては、10分ぐらいなら大丈夫ですけれども、それ以降は、部屋に入っていただいてもいいんですが、議論が進行しているのでそこには参加しないということです。
10分なのか30分なのかその辺はありますけれども、決めるということです。
当然、来ていただく以上、謝礼についてもお話をしておきます。
この謝礼というのはなかなか難しい問題で、予算の問題もありますし、かといって1万円払えるのか、もしくは3000円としました。
図書券がいいのかということはありますが、私の場合は現金で3000円だったですかね。
近辺から来る交通費ということでお願いしました。
それと先ほど示した計画書、図書館と機械化の関係図を配り、なおかつ調査票として経歴とシステム経験について簡単に聞くようなフェースシートも事前に配って回収してあります。
「e)会場」。
こういうふうにして気持ちよく来ていただいて語っていただくわけですが、慶應の会議室を使わせていただきました。
肝心なのは、非常にくつろいだ雰囲気で話していただいて、なおかつ適度の緊張感がなければいけないということです。
あまりくだけた部屋でやってしまうと、何か気合いが入らないということがよく言われています。
それと円形のほうが少人数で話をする場面においては議論が出やすいとも言われています。
この写真では楕円なんですけれども、前のほうに参加者が6人座って、手前のほうに司会の私、それといろいろな機材、私以外に議論がちゃんと進行しているかどうかをチェックしてもらうために2〜3人の方に立ち会ってもらっている。
それが後ろのほうにいるわけです。
ですから、かなり話しにくい状況であることだけは確かだと思いますが、白熱してくると全然そういうのは気にならないようになります。
「f)記録」。どういうふうに記録したのかというと、まずはICレコーダーで音声で記録しております。
なおかつ、実際の分析のときには録画した画像は使わなかったんですけれども、うなずいたり、それに対してどういう反応をとっているのか、もしくは録音だけでは発言したのがだれかわからなくなったときのために画像は撮っておく。
それとここには書かなかったんですけれども、一応機械ばかりに頼っているとぐあいが悪いので、参加者のナンバーを机のところにつけておいて、何番の人が出だしにこんなことをお話ししたというぐらいのところの記録はつけておいて、スクリプトとして起こすときにそれを参照にしてやっていきました。
最後は、「g)終了後の観察者のブリーフィング」です。
画面の後ろのほうにいた数名の主催者側のほうで、大体参加者全員が積極的に話していたのかどうか、参加者自体が話し合いに積極的に参加し、なおかつそのテーマについて自分自身にとってもメリットがあるような情報を持って帰ろうという意欲があったのかどうか、それとホンネで発言しているのかどうかということも、司会者1人だけでは目が行き届きませんので、ほかの方にも見ておいてもらうということです。
ブリーフィングをした結果、こういったところはうまくいき、なおかつ2時間の予定時間内に議論は出尽くしました。
後半になると少しだれたような感じになってきて、新しい話題があまり出てこなくなっていました。
話している内容については、設定したテーマを離れてもいいんですけれども、ちゃんとその中でデータがとれているかどうかということの確認をしています。
話していく中においては当然、職員のできが悪いとか、組織がどうだという話が出てくるのですが、その辺も電算化に引き寄せて皆さん発言してくれていました。
最後に書いてあるのは、反論や議論はあまりしないようにということです。
議論するのではなくて、ある人が機械化はいいというお話をしたら、私は悪いと思う、ではどこが悪いのかということを話して、あなたがいいと言うのはおかしいというような攻撃的な発言はしないということです。
ですから、簡単な反論、同意、もしくは自分の意見と違った発言が出てきたときに、それを発展させたような発言がうまく出ているのかどうかということも確認しています。
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