<<< back

エビデンスベーストアプローチによる図書館情報学研究の確立
第6回ワークショップ
「調査手法としてのフォーカス・グループ・インタビューの理論と実際」

議事録

開会の辞 | 発表T(長谷川:前半) | 発表T(長谷川:後半) | 発表U(汐ア) | 発表V(渡辺) | 質疑応答

::: 発表T(長谷川豊祐氏:後半) :::

長谷川発表者
 次は「4.データ分析」になります。
 「4−1 概念図の作成」。
 分析に関しては、機械化の課題についての概念図の作成を想定していました。
 そのための分析手順がありまして、発言の中から一つの主題、機械化についてのトピックを一つのデータの単位として切り分けるということを第1番目に行います。それをデータの単位化というわけですけれども、これも後でご説明しますが、単位化されたデータを今度は因果対立関係によってデータの関連付けをしていくわけです。
 関連付けが終わった段階で幾つか固まりができてくるわけで、それをカテゴリーとして決定し、そのカテゴリーの内容について要約をし、最後にそのカテゴリー間の関係を見て、発言全体を一気に要約した形で概念図に落とし込んでいきます。
 その概念図を見ることによって、図書館の自動化からインターネットまでの状況がある程度俯瞰できます。
 「a)データの単位化」。
 実際にやってみた結果です。これは発言自体をテープ起こししました。
 その中から、一つのトピックの固まりとなると思われるフレーズを一つずつ抜き出していきます。
 例えば一番上はOPACや目録を引くということは昔はあまりやらなかった。
 でも、WebベースのOPACができて、それが標準になったことによって、図書館の本は随分使われるようになったという発言があります。
 そういうふうにして幾つかのトピックを単位化して切り出していきます。
 「b)因果対立関係によるデータの関連付け」。
 切り出したデータをカード化して因果対立関係という、いわゆる原因と結果。
 「NACSIS-CATによって図書館システムの開発の促進と普及が実現した」という発言があります。
 その結果、「目録がよく使われるようになり、(図書館の本が)よく使われるようになった」ということです。
 なおかつその結果、「ハウスキーピング業務以外に利用者志向のサービスが展開できるようになった」というふうに、こういう因果関係によってカードをつないでいくわけですけれども、そのときのつなぐフレーズが、「だから」「それによって」という言葉を使ってどんどんつないでいくわけです。
 もう一つは対立関係ですが、「結局、NACSIS-CATによって目録業務は効率化した」けれども、「その省力化自体がよかったかどうかわからない」という対立関係も出てきています。こういうふうにして単位化したデータの関連付けをある程度機械的に行っていきます。
 これをどんどん広げていくことによってカードが固まってくるわけです。
 「c)カテゴリーの取り決め」。
 これが大きく固まった一つの固まりが一つのカテゴリーになっていくわけです。こうしたカテゴリーが結果的に10個できました。
 「c)内容の要約(1)」。
 今できたカテゴリーは、「NACSIS-CATの効果」と名づけました。
 電算化が普及して、それが図書館サービスに貢献し、なおかつ目録業務の効率化が非常にプラスに評価されています。
 ただ、効率化が進み過ぎて、データの品質の低下等が懸念されるという一つのカテゴリーが要約できます。
 これと同じように、「パッケージの普及」、「リプレースの効果」、「カスタマイズ」となります。
 「c)内容の要約(2)」。
 それとマイナスの影響になるわけですけれども、「システムが硬直化」したり、「未完成なパッケージ」になったり、「業務分析が甘い」というカテゴリーが10個出てきます。
 「d)10カテゴリーの関連付け:課題構造の概念図」。
 さらに10個のカテゴリーの関係をつくってしまうということです。
 これもやっぱり原因と結果でつないでしまいます。
 とにかく膨大な発言データを一気にここのところまで落とし込んでくるということです。
 10個のカテゴリーを関連付けすると、「電算化の効果」の領域、それと「パッケージの改善」に関しての領域、「周辺の課題」についての領域というふうに三つに分けることができました。
 「電算化の効果」の領域について一つを要約すると、目録業務をNACSIS-CATが効率化したことによって、図書館システムのパッケージ化が普及し、結果として大学図書館に機械化が定着していったということです。
 パッケージができたことによって3年から5年でリプレースが定着し、リプレースによってマシンの性能が上がったり、システムに新しいサービスが追加され、サービスがどんどん向上していったことが電算化の効果として挙げられます。
 次は「4−2 発言による課題の構造解明」。ここは要約をどんどん進めたわけですけれども、要約した概念図をもとにして、今度は個々の発言をそこに絡み合わせて解釈していこうということです。
 「a)電算化の効果(1)」。
 ごく一部を例にすると、こういう解釈ができます。
 まず、NACSIS-CATによる目録所在情報データベースができました。
 こういうデータベースができたことによって、データを入れるのは大変だけれども、データを共同で入れる仕組みがあったから、それだけ図書館のコンピュータ化が進んだという発言があります。結果として電算化が普及しました。
 「a)電算化の効果(2)」。
 電算化が普及したことによって、図書館サービスに電算化がどんどん貢献しました。
 以下の具体的な事例が出ています。
 WebOPACで図書館の本が随分使われるようになりました。
 なおかつ、そういった書誌・所蔵のデータベースができたことによって、小さな図書館にとっては本当にいいレファレンスツールだった。
 書誌・所蔵のデータベースが定着してきたときには、こういった非常に好意的な発言があります。
 それによって今度は利用者向けの新たなサービス展開に移行していくわけです。
 ですから図書館員が目録をとる図書館業務システムから、その図書館を使う利用者の役に立つシステムのほうにサービスを展開していく方向ができたということです。
 「a)電算化の効果(3)」。
 そういったことによってパッケージ化が進展しました。
 パッケージ化というのは自分でシステムを開発する必要がないわけですから、でき合いのシステムを買ってしまえばいいと。
 導入する館がふえてくれば、ある程度価格も安くなるので、中小規模の大学図書館もすべて電算化が行き渡りました。
 それによってパッケージというものがもう定着して、大学図書館にとってはシステムはパッケージを購入すればいいというイメージになってしまいました。
 そういうふうに電算化が定着したわけです。
 「a)電算化の効果(4)」。
 定着したことによって、マシンのハードだとかOSがどんどんある一定期間において更新されていきます。
 その更新をシステムのほうにも取り入れなければいけませんし、20年ぐらい前というのは、大学としてもまだ非常に景気がよかった時代ですから、新しいシステムをどんどん入れていくというサイクルが成り立ったわけです。
 とにかく数年に一度はリプレースすることが自動的にできてしまいました。
 パッケージのリプレースをするたびにハードがよくなったり、もしくはダウンサイジングで安くなることによって、システムとサービスが高度化・進展していくようになりました。
 リプレースがルーチン化したことで、リプレースによって機能がどんどん向上することがはっきり裏づけられています。
 それによってサービス内容が充実し、先ほどもお話ししたようにインターネット向けへの展開がまた新たに開けてきたことになります。
 「a)電算化の効果(5)」。
 もう一つあるのは、NACSIS-CATによって目録作業が効率化したということです。
 標準化が実現して効率化になりました。
 この赤い色の(四角の中に書かれた)ほうは、どちらかというとマイナスの効果の発言になってくるわけですけれども。ここまで効率化・標準化が進んでくると、それと相前後するように図書館の人員削減が進んでいました。
 この「標準化や共同目録は、人員削減を予見したかのように、アルバイトでもできるシステムに出来上がって「先見の明」があった」という発言がありました。
 「効率化による省力化がよかったかどうかということは、あまりよくわからない」という発言もありました。
 結果として、効率化への懸念が表明されているわけです。
 ここまでが電算化の効果になります。
 10個のカテゴリーを三つの領域に分けた二つ目の領域の「b)パッケージの改善(1)」の中でいくと、つるしの背広を買うような感じでパッケージシステムができて、それが大学図書館の中に定着していきました。
 そうすることによって、図書館員がどういう認識を持つに至ったのかというと、「もうシステムというものは自分たちがつくるというものではなくて、最初からそこに存在している。
 だからこのシステムがおかしいとか変だとかというふうな認識がそもそも図書館員の中から消えてしまった、起こってこない」という発言があります。図書館からの改善要求が縮小していったということです。
 結果的には、自分たちの使うシステムがいい、悪いという結果についての責任も消滅していっているようです。
 「b)パッケージの改善(2)」。
 図書館員のそういった責任感もなくなっていくのと同じように、メーカーもパッケージの枠を出なくなっている。そのほうが非常につくりやすいわけです。
 私が集めた参加者の人たちというのは、実は非常にベテランなわけで、図書館のシステムを開発するときからかかわっていました。
 彼らが開発した後、それはもうパッケージとしてひとり歩きをしたために、図書館のシステムをリプレースする場面において、ベテランが参画する余地がなくなったということで、ベテランの意見はもうほとんど反映されていない、ノウハウを持っている人たちの意見が反映されていないという状況になりました。
 改善要求が全然出ないで、図書館システムが硬直化しているという結果になっています。
 「b)パッケージの改善(3)」。
 具体的にはこういう発言が出ています。
 例えば手なれていた人というのは、キーボードとマウスを交互に使うようなシステムというのは使いにくい。
 キーボードだけでいくならキーボードでタブで飛ばしたりしてどんどん行ってしまいたいんだけれども、キーボードとマウスを交互に使うようなシステムに仕上がっているわけです。
 どうも作業が途絶えるようなシステムになっていると言われています。
 なおかつ、「性能が軽視されて、我慢して使って、実現出来ていないことがたくさんある」と言っています。
 具体的にどういうことなのかというと、大学の図書館で例えばある雑誌についての10月号を受け入れる。
 10月号が入ってきましたということですね。
 そうすると図書館のOPACにはそれは反映されて、10月号がありますというデータを図書館のローカルなOPACから見ることができる。
 では今度、NACSIS-CATのほうにその10月号がありますというデータがどの時点で反映されるか、システムは保証していないということです。
 過去においてはすぐに反映するようなシステムもあった。
 もしくは、10月号が入ったという情報を反映しやすいような仕組みがあったにもかかわらず、最近はそういう仕組みのないシステムができてきている。
 これが性能の軽視です。
 機能面と性能面では非常に不十分で、パッケージの完成品はなくて、やっぱり半製品なんだと言い切っている人たちが非常に多かった。
 現状としてパッケージは未完成だということになっています。
 「効果と影響」。ここまで見てきて、電算化についてよかった効果、それと悪い影響です。
 よかったほうは、電算化が普及して、目録業務は効率化して、サービス内容も充実して、今現在我々がサービスしているように、インターネットのサービスへどんどん展開するような状況になってきたわけです。
 その反面、ここら辺があまり語られていないんですけれども、やはり目録業務を効率化したことへの懸念というものが表明されているにもかかわらず、具体的にどこがどう問題なのかということが、インタビューの中では幾つか出てきたのですが、大学図書館界の中でははっきりは語られていない。最近、幾つか出てきていますが。
 それと電算化システムというのは、長年使っていて非常に安定的に稼動していると思われているにもかかわらず、硬直化しているということです。
 硬直化しているので、現状としてやっぱり未完成なシステムだと皆さんが言い切っています。
 なぜそんなふうに未完成になったのかというと、開発する場面においての結果責任が消えていると。こういうふうに効果と影響についてざっくりと総括できます。
 「5−1 FGIの留意点(1)」。
 留意点についてお話をしてみたいと思います。
 ここまでは概念図もかけて、解釈もうまくいったという話です。
 留意点については、まずグループ・インタビューをする場面において一つのグループの中の人数は何人が最適なのかということです。
 本を読むといろいろ書いてあって、6人から12人ぐらいの幅があったり、実際にマーケティングをやっている人によると、やっぱりある場面においてはいっぱいいたほうがいいという場面もあるわけです。
 なかなか決まらないのですが、幾つか書いてある中でいくと、やっぱり5〜6人というのが相互作用、いわゆるグループ・ダイナミックスが働きやすいと言われていますし、実際やった感じでいくと5〜6人というのがいい感じなのかなと。
 8人ぐらいになると議論から漏れていってしまう人が出ているような感じもします。
 次は幾つのグループで実施すればいいのかということです。
 あるテーマについての原因や背景情報を得るための探索的な調査では1組か2組で十分だとも書かれています。
 ただ、製品開発では2組か3組ぐらいが適当で、特定テーマについて、場合によってはもっと多くが必要だということが書かれているわけです。
 結局、幾つ必要なのかということは、正しいデータがとれれば一つでもいいわけです。
 でも、そのデータが正しいかどうかは1組ではわかりません。
 少なくとも2組は実施しようと言われているのは、1組ずつやって、そこの中でざっくりと先ほど説明したような概念図をかいて、同じような概念図が二つのグループから得られるならば、設計した調査の計画書によって、いわゆる飽和したデータがとれたということです。
 2組ぐらいやって同じような結果が出れば、それで間違いはないだろうと言えるということで、私の場合は何とか二つ実施して同じような結果が出たので、これ以上やっても新たなデータは出てこないという判断をいたしました。
 では二つやって別だったならば三つ目をやるのかというと、三つ目をやったときに2対1でどちらが正しいのか、四つ目をやれば2対2になる可能性もあるということで、最終的に収拾がつかなくなることはあるわけです。
 大体設計さえうまくいっていれば、同じような結果が出るのではないかと思います。
 「5−1 FGIの留意点(2)」。
 次にはグループ・ダイナミックスをいかに確保するかということです。
 一つ気にかけたのは、参加者の人たちというのは、フォーカス・グループ・インタビューなんていうことを知っている人は皆無だったわけです。
 会議でみんなで意見を闘わせるというのもわかるし、KJ法のような形でブレーンストーミングするというのもわかるけれども、こういったフォーカス・グループ・インタビューという特殊なデータ収集方法の中に自分が置かれたときに、どういうふうに振る舞っていいのかがわからないということがある。
 私も多分そうなんですけれども。そういうことで、フォーカス・グループ・インタビューとはこういうものなんだということを事前に参加者の方たちに理解していただいたほうがいい。
 だれか1人が話しているときに、そこでわきから茶々を入れるというような、錯綜して話されると調査者のほうとしては困るという、技術的なところも理解していただいたほうがいいということです。
 中には、データが欲しいんだろうということで、レジュメをつくってきてくれた方もいました。評価について知りたい、それについて語っていただきたいという伝え方によって、語る場面においてはやっぱりレジュメがあったほうがいいだろうという対応だったようです。
 「5−1 FGIの留意点(3)」。
 あとは調査者としてどんなデータが欲しいのかを、ぶれなく明確に持っていなければいけないわけです。
 どういうふうなものが欲しかったのかというと、とにかく電算化に関しての包括的な考え、ベテランの人たちがすべて頭を絞り出したものがみんな欲しい。
 そのためにどういうふうな仕掛けをつくるか、参加者の選定についてもおのずと欲しいデータに合わせた参加者を選ぶようになります。
 参加者が持っている業務の知識と発言する際の常識を配慮して参加者を集めていくわけです。
 「5−1 FGIの留意点(4)」。
 最後に、目的を明確にしなければいけないということです。
 どうせ集まってもらうんだからいっぱいのデータが欲しいわけです。
 ひょっとすると今後の図書館システムとしてどういうものがいいのか、図書館の組織としてどういうものがいいのか、図書館員としてサブジェクトライブラリアンのようなものが求められているのかということも、せっかくだから聞いてみたいという願いはあります。
 ただ時間内で聞ける範囲があるので目的は一つに限りましょうということです。
 そうしたことによってグループ・ダイナミックスが生まれてくるようになります。
 「5−1 FGIの留意点(5)」。
 あとは枠組みを設定したことによって、枠組み外に重要なデータが残されているのではないかという懸念があります。
 例えば電算化システムについての考えを語っていただく中において出てきたのは、結構白熱した議論になりかけたことがあって、いわゆる書誌・所蔵のデータだけではしようがないだろうと言う参加者がいました。それだけではなくて、やっぱりフルテキストがなければしようがいないと言っています。
 ただ、それでもやっぱり図書館としてはまず書誌・所蔵データを整備することから始まるんだから、これを何百万件、何千万件蓄積したということは非常に重要なことなんだという参加者もいました。
 ただ、この議論は結論を出すためのインタビューではありませんので、こういう話は延々続けては困るわけですが、実はこういった話しを続けていく中において図書館システムは最終的にどういうものなんだということが出てくる可能性はあります。
 あとやはりハードというかシステムの話だけの中に、それ以外に組織とか職員に関しての発言がいろいろ出てきます。
 勉強しない人が多いという話が出てきて、それはパッケージ化になってつるしになってきたから考えなくなったのか、それとも最初から考えない人たちだったのか、いろいろ話が出ていました。
 その辺は時間の関係もあるので、そこそこに沈静化して別なところに移っていったわけです。
 次には、いろいろな分析方法があります。
 書いてあるものを見ると、とにかく何でやったらいいかよくわからない。
 発言データを単位化したカードをKJ法的に並べて、ブレーンストーミング的にカテゴリーをつくっていけばいいんだと書いてあるものがかなり多いです。
 またあとは、分析用のコンピューターソフトウエアがあるので、それを使ってデータの単位化よりももっとワード単位での出現頻度を分析していくという手法もあるということです。
 結局、調査目的に合わせた分析方法を選ぶということしか言えないのだと思います。
 次に「5−2 FGIの限界」です。先ほど申し上げたように、司会者を私がやったわけですから、私はグループ・ダイナミックスを働かせるための熟練した司会者ではありません。
 どちらかというと、勝手に話していただいていた部分が非常に大きいです。
 ただそうすると、クレバーな参加者ほど調査者に対していろいろ配慮して、いいデータを出してくれようとするわけです。
 余分な議論は避けようと自発的にやってくれます。
 これがFGIの限界にもなると思います。
 あと分析者に対して結構負担がかかります。
 調査も司会もやって、最終的な分析もやっていくと、かなり負担がかかるので、グループの数を大きくすると何度も繰り返してやることは結構耐えられない作業になると思います。
 最後は、一般化は困難だということです。
 出てきた結果が適用できる範囲は、調査を設計した段階で参加者の所属する集団、いわゆる大学図書館を選んだわけで、大学図書館を代表する参加者を選んだわけです。
 ですから、大学図書館に関しては一応適用できるけれども、公共図書館に対しては適用できるかどうかはもちろんわからないということです。
 それと、開発者側とか図書館を使う利用者はまた別集団ですから、利用者が望む図書館システムはどういうもので、利用者が現在の図書館システムをどう判断するのかということはまた別問題になってきます。
 こういったことが限界点として挙げられます。
 あとは「6.GFIの有効性」ですけれども、課題の解明には非常にいい。
 電算化が大学図書館に及ぼした影響、逆に図書館員が電算化図書館にどうかかわっていったのかということも出てきました。
 それと概念図に関しては了解性の高いものがかけたと思います。
 一部の人にはあまりにも「きれいすぎる」とも言われました。
 あとフォーカス・グループ・インタビューに関しては、今後の大学図書館にはこういった探索的な課題が非常に多くあるので、どんどん適応していく可能性があるのではないかと考えます。
 以上です。すみません、少しオーバーしました。

池内
 どうもありがとうございました。
 大学図書館業務電算化における課題を解明するためにフォーカス・グループ・インタビューを用いて行われた研究、並びに、その研究の過程における、さまざまな工夫だとか、困難に直面した際の出来事について詳しくお話しいただきました。
 ご質問と議論の時間は、皆様のご発表を伺ってから改めて時間を設けたいと存じますけれども、これだけは聞いておきたいとか、確認しておきたいことが会場のほうからございましたら、今伺います。
 どなたかいらっしゃいますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 司会のほうから1点だけ。
 EBA6と書かれている長谷川さんの5ページ目の資料の「c)司会者と参加者の関係」で、「FGIでは、お互い同士知り合いでない参加者の選定が理想」というところのロジックがよくわからなかったのですが、知り合いでないほうがよろしいんでしょうか。
 ちょっと知っているほうが話が盛り上がるように直感的には感じるのですが。

長谷川
 知り合い同士でないからこそ、好き勝手なことを言って別れることができるので、好き勝手なことが言えるから知り合いでないほうがいいと書かれています。

池内
 なるほど、大人の世界ですね。(笑)
 そうですか、知っているほうがいろいろなるかなと個人的に何となく思っていました。
 今回は12人の人々を配置する際には、なるべく知り合いでない人に配慮されたということはございますか。

長谷川
 配慮はしたんですけれども、結果的に長年……

池内
 この世界にいるので知っていらした。

長谷川
 直接のお友達もいらっしゃれば、名前だけ知っていたという(人もいました)。
 名前だけ知っていたというぐらいなら知らないに等しいのですが、ほとんど知り合いであるということです。

池内
 承知しました。
 また後ほど議論の時間を用意させていただきたいと思います。

<<< back