<<< back

エビデンスベーストアプローチによる図書館情報学研究の確立
第6回ワークショップ
「調査手法としてのフォーカス・グループ・インタビューの理論と実際」

議事録

開会の辞 | 発表T(長谷川:前半) | 発表T(長谷川:後半) | 発表U(汐ア) | 発表V(渡辺) | 質疑応答

::: 発表V(渡辺剛行氏) :::

池内司会
 それでは引き続き渡辺さんのご発表に移らせていただきたいと思います。
 渡辺剛行さんは、株式会社シーエヌエス、マーケティングリサーチを手がけていらっしゃる企業の代表取締役でいらっしゃいます。
 本日は、「企業活動に於けるグループ・インタビューの活用事例」ということで、現場の事例についてお話しいただけることになっております。
 それでは渡辺さん、よろしくお願いします。

渡辺指定討論者
 どうもはじめまして、渡辺と申します。
 よろしくお願いします。(以下、パワーポイント使用
 私は、企業さんから市場調査の業務を請け負って、実際に製品開発であるとか、先ほどお話が出た事業開発とか、そういうものにグループ・インタビューなどを使うような事例を、今日はご紹介させていただければと思います。
 「1.定性調査と定量調査それぞれの使い分け」。
 まず、市場調査を行う場合、定性調査と定量調査といった二つの調査手法に大きく分かれます。
 実際、企業さんによって課題がそれぞれ違いますので、その課題を聞いて、定量調査がいいのか定性調査がいいのかというようなことを最初に判断します。
 定性調査に関しては、グループ・インタビューという方法と、もう一つはワン・トゥ・ワン、要は1対1でインタビューをする方法があり、大体最初の段階でどちらにするかを考えるわけです。
 実際、定性調査は、検証ではなく発見に主眼を置くもので、そこで決断するということは少ないです。
 グループインタビューの特徴は、対象者同士のコミュニケーションを通して潜在的な本質に迫ることで、実際になかなか対象者に直接聞いても、意識が顕在化していないことを、発見したい場合に活用します。
 定量調査も、ほぼ同じですけれども、定量調査に関しては、多角的な質問、要は、色々な質問をして本質に迫るというようなやり方をします。
 一つのことを好きか嫌いかという判断するのに、状況などを聞いたり、過去の経験、あるいは実際の購入実績、そういう幾つかの質問を通して本質に迫るというようなやり方をします。
 分析に関しては、定性調査は発言の背景や行動から特性を把握することに主眼をおきます。
 要はどういった発言があったか、その背景、バックグラウンドがどうなっているのか、それが根拠に足るものなのか、そういうものが分析の大きな視点となります。
 定量調査の場合は、数値の偏りや増減から傾向を把握するという形で分析を行います。
 それぞれテーマ、課題によって調査手法を選んでいます。
 「2.マーケティング活動の中でのグループ・インタビューの活用事例」。
 具体的にどんなところでグループ・インタビューというのが使われているかということです。
 まず上のほうに五つ円で書きましたけれども、大体ここのラインというのがコンセプトを開発する段階のものです。
 最初の段階というのはアイデア出しです。
 これは担当者レベルのアイデアであったり、経験だったり、実際に自分が観察したものだとか、例えば新しい論理が見つかったとか。
 又、お客様満足度調査みたいに、実際に発売されている製品の評価から、新しい商品のヒントを得る場合もあります。
 そして、まずそこから実際に仮説を立てていくわけです。
 もちろん、過去の実績、あるいは一般に出ている市場調査のデータみたいなものも仮説を立てる際には活用します。
 そして、その仮説に受容性があるのか、要はお客様に対して受け入れられるのか、仮説自体の検証を行うのですが、こうした検証にグループ・インタビューを使っていきます。
 この調査に於いてある程度、お客様から評価されそうだなということが分かったら、実際にコンセプトの仮設(仮に設定)を行います。
 それに対して、先ほどもお話がありましたけれども、定量調査と定性調査を組み合わせて、今度はアイデアレベルをコンセプトに置きかえるわけです。
 コンセプトに置きかえたものは、またお客様に受け入れられるのかを数グループ、多くて4グループ、少なければやはり2グループぐらいの対象者で調査します。
 実際に2グループなり4グループ、複数やるというのはグループ間の差を見る為です。
 要はグループ間で共通項目があるのか、ないのかということを一つの見方として使います。
 それともう一つ、意見の広がりを見るために最低2グループ。つまり1グループだとどうしても1人の方の意見に左右されてしまって、その人の影響下で発言の方向性が決まっていく場合がありますので、一応2グループは最低やってみるというような形です。
 グループ・インタビューを実際にやってみて、その中の結論で幾つか方向性が見えてきた段階で定量調査を行います。
 要は少人数で実施するグループインタビューでは、量的なウエイトづけがされていませんので、こういう方向もあるね、こういう考え方もあるねというレベルなので、それに対して方向性のウエイトづけをする為に定量調査を実施するのです。
 定量調査の結果、これぐらいの市場規模が見込めそうだぞということがあれば、生産計画とかデザイン計画に入っていく。
 この間いろいろありますけれども、実際に調査の面でいえば、モックアップ……。例えば携帯ショップなどに行くと、よく電話機の見本が置かれていると思います。
 それと同じような、ほとんど実機に変わらないような状態で評価できるものをつくります。
 例えば車などでいうと、モーターショーに展示してあるような本当の実車サイズのものまでつくります。
 冷蔵庫だとか洗濯機だとか白物家電みたいなものは、どこか都内のこの部屋ぐらいの規模の会場があればできるんですけど、車などの場合はコンベンションセンターのような大きな会場を借りて、実際に市販されている車と、新しくつくったコンセプトカーを展示して評価をしたりします。
 そしてモックアップとコンセプト、或いはパッケージ、ネーミングの合致度みたいなものの評価する為に、まず定性調査を行います。
 そして先ほどと同じように、量的な検証をもう一度行うのです。
 要は実際にそこで出た意見のウエイトづけをもう一回やろうという訳です。
 そして、そこで評価が得られれば、販売計画をたて市場導入するといった具合です。
 市場導入した後は、また最初につながってくるんですけども、皆さんもよく受けると思うのですが、お客様満足度調査など行い、市場に出した製品を次に、どうしていけばいいのかを検討します。
 商品を出した後にも、よりよいものに改善をしていき、そして数年たった段階で、商品に問題が出てきたとか、競合他社の製品が新しくマーケットに入ってきたという場合には、定性調査、定量調査、グループ・インタビューとかアンケート調査を行って、再度、新しい商品のアイデア出しをしていく。
 大きく言えばこういう循環の中で、調査を活用しています。
 「3.その他の活用事例」。
 そうはいいながらも、本来はグループ・インタビューを使うべきではないものにも企業は使っているというケースがあります。
 というのは、定量調査のほうが望ましいというような調査であっても、サンプルが集められない場合があるんです。
 例えばどういうのかというと、市場規模が小さくて調査対象となるサンプルを確保できない。
 これは我々にもあったんですけれども、例えばホームセンター、ああいう家庭用品みたいなものを売っている店で、実際にお風呂を自分で買ってそれを家につけた人のアンケート調査をやりたいというような要望があるわけです。
 500サンプルぐらい集めたいというんですね。(笑)
 そういう人はまずいません。
 それをつくっている企業にとってみれば真剣なんですけれども、実際はいないので何とか3〜4人ぐらい見つけてインタビューをする。
 だから本質的には量で検証しなければいけないんですけども、現実的に難しいということです。
 あとは自社や他社の発売直後の新製品のユーザーを調査したい。
 これは何かというと、例えばお菓子でも何でもいいんですけれども、新しい商品が市場に入ってくるとお客さんの評価はガラッと変わってくる。
 例えば車などもそうですが、競合他社の製品が新しい商品を市場導入してくると自社の商品の評価も変わる。
 だけど実際に製品が出た後、例えば2カ月後とか1カ月後にユーザー調査をしたいといってもなかなかできないんですね。
 本来はアンケートでやりたいんですけども、グループ・インタビューでとりあえず意見を聞くという訳です。
 この間も実は我々でやったのですが、ある製品のユーザーを集めたいということで、大阪でクライアント先と他社のユーザーを6人集めようとしたら全然集まらなくて、結果、大阪でやったにもかかわらず6人集めたのが、仙台、九州、静岡(からでした)。  交通費全額支給で、交通費だけで20万以上かかりました。
 ただし、そういう意味では企業としてはそれほど情報が欲しいということなんですね。
 あともう一つは、本質的には定量調査で評価を得たいけれども、食べたりさわったりしてほしいものはアンケートだとできないということで、グループ・インタビューみたいなことをやったりします。
 場合によって、その中間的なものでCLT(Central Location Test)というもの(をやります)。
 皆さんもご経験があるかと思いますけれども、例えば渋谷だとか新宿だとか繁華街に行くと、500円の図書券を差し上げますからアンケートをお願いしますというようなことに遭遇したことがあると思います。
 これは定量調査とグループ・インタビューの間ぐらいのもので、実際に面接して意見も聞きたいし、量もとりたいという場合に、このCLT調査という手法を用います。
 あともう一つは、開発者や関連部署担当者が実際にターゲットの言葉や雰囲気を実感したい場合で、これだと定量でもとりたいんですけれども、やっぱり開発を実際にしている人間というのは人に触れたい。
 なかなかお客さんに触れる機会がないということで、お客さんが言う言葉や雰囲気というのを実感したい。
 どんな服を着ている人なのか、どんなお化粧をしている人なのか、どんなタイプの人なのかを実際に目でみたい、文章でなく目で見たいという場合にはグループ・インタビューを実施する場合があります。
 実際に我々がグループ・インタビューをやる場合というのは、マジックミラーがある専用の部屋が都内に20カ所ぐらいありまして、基本的にはそこを使って実施しています。
 「4.なぜグループ・インタビューの利用頻度が高まってきたのか」です。
 90年代ぐらいまでは定量調査がやはり主流で、大量生産ということがあったのですが、90年代以降、お客様のニーズがすごく多様化してきたことにより、それに対応する為、小ロットで付加価値を持った商品を開発しなければいけなくなりました。
 例えば冷蔵庫でもステレオでもいろいろな機能がついていたり、こんなのを買うのかというような商品までつくられたりすることもありました。
 小ロットの商品は、セグメントされた生活者の期待(ニーズ)というのがどんなものがあるのかを深掘りしていかないと、そのマーケットにたどり着きません。
 それゆえ定量調査だけで推察することが困難になり、生活者のより深層心理に迫ったニーズ把握の必要性が生まれてきました。
 しかし、生活者の深層心理に迫る上で難しいのは、生活者言語の開発言語への変換です。
 お客様というのは専門家ではないので、自分なりの言葉で、評価をします。
 でもそれが時として、専門家の言語とは違うんですね。
 そこで例えば生活者の「好き」、「欲しい」とい言葉さえ、それがどういう意味なのかを、改めて考える必要が出てきたのです。
 アンケート調査に於いても、生活者の意識や感覚にフィットした細かな質問設計が必要になってきました。
 もし、生活者の感覚と質問がずれていると、アンケート調査をやっても、その他35%といった結果が出てきてしまうわけですね。
 結局、質問をつくる人間が生活者の意識や感覚にフィットしていない場合に、どうしても質問が生活感覚に合わないものになってしまう。
 以上のようなことがグループ・インタビューの頻度が高まってきた背景にあります。
 「1.生活者のより深層心理に迫ったニーズ把握の必要性」というのは何かというと、これは正確ではないですけれども、大きく言うとこんな形(ピラミッド形)かなということでかきました。
 アンケート調査で解明できる領域と、グループ・インタビュー調査で解明すべき領域があります。
 例えば公共の調査などでは、こうすべきとかこれが望ましいと皆さん意見を書けるわけです。
 次に友人に見せているレベルの気持ちや意識に関しても、ある程度アンケートででも回答を得られます。
 次に人に言う、言わないは別として、自分自身の意識が顕在化しているもの、例えば自分が「こうしたい」とか、「将来こうなりたい」とか、自分なりの意識を持っているものに関してもアンケートで聞きだせます。
 ですが、自分自身でもわからない意識というのがあるんですね。
 ある海外の高級車メーカーは、ユーザーに対して、その車を選んだ理由は何ですかと聞いても、「カッコいいから」とか「オシャレだから」という言葉しか出てこないので、アンケートではなく、インタビュアーと対象者が1対1で行うデプスインタビューという手法を用いて、約1時間から1時間半かけて調査を行っていました。
 その調査の面白いのは、子どものころ、幼稚園に入る前、一番初めに見た車は何ですかというところからスタートするんですね。
 そして、それからもうちょっと大きくなって、小学校に入った時期のころはどうだったのか等、その人の潜在意識を順々に掘り起こしていくような質問をして、その人の本質に迫っていくんです。
 本人は気づかないんですけど、そうした質問を通して、自然と自分の潜在意識が呼び起こされていくんです。
 うまくいったグループ・インタビューやデプスインタビューの最後に、対象者の方から「僕ってこういうふうに考えていたの。わからなかった」というのが出てくるんですね。
 これが結構、成功の一つのバロメーターになるかなと思います。
 「参加者同士がお互いの意見を刺激剤として、自分自身の深層に迫る」。
 グループ・インタビューの特徴、デプスインタビューとの違いは、デプスインタビューは司会者との言葉のやり取りで、潜在意識を引き出していくのに対して、グループ・インタビューの場合は参加者同士が、いろいろ刺激し合って自分の深層に迫っていく。
 自分の言った意見に対して、人が違った意見を言う。
 そうすると、自分の意見というのがまたここで考え方が変わってくる。
 先ほどリラックスというお話がありましたけれども、「一度言った意見を変えてはいけないとは思わないで下さい」と対象者に伝えておくことは重要です。
 どんどん意見は変わっていただいて結構なんですね。
 つまり、変わるということ自体が、自分の顕在した意識から潜在意識に少しずつ迫ってきているということなのです。
 一度こう言ってしまったから、このまま意見を通さなければいけないのではないかというようなことで、グループ・インタビューが進行すると、結構いい意見が出にくくなる。
 そうした意味で、やっぱりモデレータの役割というのはすごく重要です。
 モデレータの一番の役割はディスカッションが円滑に進行する環境をつくるということです。
 緊張をほぐしたり、心の声を聞き出すための環境をつくる。
 そういう意味で適性・不適性というのがモデレータにもあるのかもしれません。
 プロのモデレータになりたいという方で、もともと例えばテレビ局で司会していましたとか、ラジオのDJをやっていましたという方もいるのですが、そういう方は意外と適性がないんですね。(笑)
 しゃべる仕事なので聞く仕事ではないんですね。
 モデレータの役割というのは聞く仕事です。相手の話を聞いて、話しやすい環境を創ることが重要なので、もともと司会業をやっていたという方は、その境地に行くのが意外と難しくて、なかなかなりにくい。もう一つモデレータにとって重要なのは、その調査の目的から逸脱しないようにサポートしていくこと。
 この二つが大きな役割になってくるかと思います。
 「2.生活者言語を開発言語に変換する必要性」ということで、これはもう随分前の話ですけれども、カラープリンタのお客様満足度をやったときの事例です。
 定量調査によるお客様の要望・意見は、より印字速度を速くしてくれというわけです。
 だから一生懸命開発者は印字スピードを速くするよう努力するのですが、行き着いたのは、これ以上アップするのは技術的に困難だということと、コストがかかり過ぎてしまってどうしようもないというところでした。
 ではちょっと調査手法を変えましょうということで、定量調査から定性調査に変えグループ・インタビューをやってみました。
 そうすると、印字速度が遅いというのは生活者の言葉なんですね。
 それは何かと深く聞いてみると、インクがにじんだり、紙詰まりを起こしたりと、何度も失敗するというわけです。
 要は印字速度が遅いのではなくて、プリントするのに時間がかかるという言葉なんですね。
 要は紙詰まりしてしまうのではないかと(思って)プリンタの前から離れなれないんです。
 例えば書類をつくって100枚プリントアウトしなければいけないのが、1時間ぐらいで戻ってきたら20枚のところでとまっていたら、またやり直しになってしまう。
 その為プリンタの前から離れられない。
 だから時間を拘束される。それが嫌だから言葉としては印字速度が遅いというような表現を使っているわけです。
 ニーズとしては「プリンタからの解放」ということなんだろうと。
 そうした場合に何を考えたかというと、単純な話が印字速度を速めるのをやめてシートフィーダーの性能を上げたり、インクがにじまないようなものに変えたり、そうすることで結局、印字速度が遅いというお客様の不満は消えて、実際に満足度が高まるというようなケースが出てくる。
 生活者言語を開発言語に変えるという小さなことですけれども、こういうことで商品の満足度が高まったり、改善につながるということが実際に起きています。
 「3.より生活者の意識や感覚にフィットした細かな質問設計の必要性」ですけれども、まず一つはタイでやった定量調査で我々が失敗したケースです。
 (去年)タイでクーデターが起きて、先月、2007年の8月に国民投票が行われました。
 これは何かというと、クーデター直後から、ある製品が売れなくなってきてしまったんですね。
 その要因が何か解明しなければいけないので、実は今年の春にも調査をしたんですけど、なかなかいい傾向に伸びないということで、国民投票の後であれば経済意識みたいなことも変わるのではないかということで、国民投票後に再度アンケート調査を実施しました。
 その中で、政情がいつごろ安定するのかというような質問を入れました。
 これは政情が安定する時期ぐらいから購入率も高まったり、購買頻度が高まってくれるのではないかという期待があったのですが、何人かに聞いた段階で一つわかったのが、タイ人は政情が安定化するなんて思ったこともないということです(笑)。
 だから思ったこともないことを聞かれても、データとしては何にも役に立たない。
 それで急遽、タイで簡易的なグループ・インタビューをやって、もう一度質問をここでつくり直したというようなことがあります。
 そういう意味で、質問設計をする際、グループ・インタビューみたいなことを行って、細かな情報を集めておくことも必要になってきます。
 これも同じようなケースですけれども、中東のある国で購買行動調査を実施したのですが、調査票の属性のところで性別男女と入れたら、この国で女性は、その製品は使わないという話になりました。
 質問自体がおかしいからこれを変えてくれと。
 その為、これもグループ・インタビューではないですけれども、急遽、何人かの方にインタビューをして、質問票をつくり直し、結局、準備していたものが無駄になってしまうということになりました。
 そういう意味では、多く予算をかける必要は本当になくて、何人か身内の方でもいいですし、あるいはお知り合いの方を集めてでもいいので、質問設計をつくるために、意見を事前に集めておくことも定量調査に行う上で重要なことかと思います。
 最後に、「5.インターネットの普及がグループ・インタビューへ与えた影響」ということで、今、グループ・インタビューの対象者のリクルーティング、要は人を集めるものに関しては、インターネットモニターを使われるケースが多いです。
 インターネットのモニターを使う理由は、私どもでも使っているパネルが全国で42万人ぐらい登録していますので、細分化するターゲットを的確にリクルートすることができる。単純に言えば2万人のうちの1人を集めても、20万人いれば6人集められるというようなことで、普及率0.1%の商品利用者でも集められることになります。
 もう一つは調査期間の短縮化、最短で2日で対象者をリクルートできる。
 インターネットを使う前は、スノーボウリング方式と言うんですけれども、知り合いを紹介してもらいながら、その対象者に行き着くというようなやり方をしていました。
 しかし、すごく時間がかかるんですね。
 インターネットを使うことによって、対象者が短時間でリクルートできるようなところで、調査期間もその分短くなりました。
 より正確に対象者をリクルートできるというのは、通常我々も2時間拘束するのに大体1万円ぐらい謝礼をお支払いするんですね。
 そうすると、謝礼が欲しくて来られる方もやっぱり中にはいます。
 人づてでリクルートをすると、条件となる商品を持っているとか、持っていないと自分で答えてしまって、適切でない対象者が集るケースがあります。しかし、今はインターネットで20問ぐらいのアンケートを行いますので、その中で本当にその人が対象であるかということを、的確にスクリーニングして集められるようになりました。
 先ほどもお話がありましたように、対象者というのが非常に重要になってきますので、本当にそういう意識や知識を持っていない方が集まってしまうと、内容がすごく散漫なものになります。
 特に6人とか12人にしか聞かないものなので、調査報告書としては説明力のないものになってしまいます。
 対象者のリクルートあるいは対象者条件の設定というのは、グループ・インタビューの中では非常に大きな要素を占めるという形になっています。
 以上が私のご説明です。

池内
 どうもありがとうございました。

<<< back