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公開シンポジウム記録
変わりゆく図書館情報学専門職の資格認定
--専門団体はどう取り組んでいるか--

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T.冒頭挨拶

根本(司会)
 それでは、公開シンポジウム「変わりゆく図書館情報学専門職の資格認定」を開催させていただきます。
 私は今日の進行を務めさせていただきます東京大学の根本と申します。
 どうかよろしくお願いいたします。
 今日のシンポジウムは、LIPER(ライパー)が科学研究費に基づいて共同研究を始める第一歩ということです。
 最初に、研究代表者である慶應大学の上田修一教授からご挨拶をいただきたいと思います。

上田
 慶應大学の上田と申します。
 LIPERという略称を用いますが、正式には「情報専門職の養成に向けた図書館情報学教育体制の再構築に関する総合的研究」ということです。
 こういう名前をつけると、科学研究費をもらいやすくなるということにのっとった形になっています。
 日本図書館情報学会という学会がありまして、そこが今年、創立50年を迎えます。
 来月、10月に筑波大学でその式典などを行う予定にしていますが、学会が50年を迎えます場合に単に式典をすれば済む、あるいは年譜を出せばいいというわけでもなかろうということで、研究団体ですので、研究に寄与することを考えようということになりました。
 そこで、日本図書館情報学会のメンバーの中から、教育という側面に関心のある方に加わっていただきました。
 資料には10名の研究分担者の名前が出ていますが、現在、研究協力者を合わせて30名ぐらいの大規模な研究グループをつくって、やっています。
 目標としましては、図書館情報学教育と言っていますが、図書館員及び情報関係の職業について研究を進め、現状の把握と問題点の解明を行うことにしています。
 できれば制度面での何らかの提言をしていきたいという、大それた考えをしています。
 昨年から準備を始めて今年から3年間の研究計画をたてたのですが、何とか研究費をいただくことができたので6月ぐらいから活動を開始しています。
 本日はこういうことをやっているということをお披露目する初めての機会です。
 ふつう科研費による共同研究はいろいろな形態があるのですが、自分たちを褒めるのも何ですが、最初から割とまじめに取り組んでいます。
 既に幾つものインタビューや調査などが進められています。3年たてば、何らかの成果があるだろうと考えております。
 お配りしたパンフレットの2ページに仕組みを書いたところがありますが、この表にあるように3年がかりで、大きな4つのグループが活動を行います。
 すなわち図書館情報学教育班、それから館種別に、公共図書館、大学図書館、学校図書館の三つのグループに分かれて、それぞれの分野での教育にかかわる問題点の調査をしていきます。
 基本的には実態を調べることが大事だと考えています。
 ただ、実態は単にアンケートをすればわかるというわけではないので、なるべく実際に携わっている方々にお話を伺いながら、こちらも質問をしながら調べていくということを基本に置いています。
 この研究の成果に関しましては、日本図書館情報学会のホームページが、NII(国立情報学研究所)のAcademic Society Home Villageというところにあり、その中に場所を借りて、今後、成果を発表していく予定です。
 ぜひごらんいただきたいと思います。
 概要としてはそういうことで、これは司会をしていらっしゃる根本先生が中心になり、自主的にやっていただいているような形です。
 皆様の今後のご協力もお願いする次第です。

根本
 ただいま研究代表者のほうからご紹介がありましたが、最初に資料についてご確認いただきたいと思います。
 16ページ立ての冊子になったベージュ色の資料が1部。
 それから、「日本の図書館職員数の概要」と書いてある、表裏の1枚ものがあります。
 それから、緑色の「研究集会 美術館・博物館、文書館の情報専門職制の開発と養成 現状と課題」と書いたものが1枚あります。
 そろっているかどうか、ご確認ください。
 よろしいでしょうか。
 それでは、今日のこれからの進行について申し上げたいと思います。
 全部で3時間、4時までを予定しています。
 今日は5名のパネリストをお呼びしています。
 いずれも図書館情報学の専門職にかかわる全国的な団体で、その職の形成、ないしは研修等にかかわっておられる方々をお呼びいたしました。
 今日は、我々が主宰している共同研究組織、研究班の勉強を兼ねた会であります。
 現在の我が国の図書館情報学の専門職団体で、図書館情報学教育や研修等で、一体どういうことが考えられているのか、あるいは実施されているのか、その辺の全体像を把握したいということが一つあります。
 そういうことで、責任ある立場にある方々にお忙しいところをおいでいただいたということです。
 第二に、我々の研究ということで申しますと、今後、この研究は政策提言を行うことを最終的な目標としたいと考えていますが、その際に、外国の例等もご存じのとおり、図書館情報学は一つの知的な共通の基盤を持っていると考えられるわけです。
 我が国の場合、そういうものを形成しようという試みはかつてあったのですが、現在、そのようになっていない状況があります。
 そういう政策提言にいずれつながるようなことを考える場合に、現在、各専門職団体の方々においでいただいて、今後の団体間の連携や共同の事業などの見通しについてもお話しいただきたいということがあります。
 それからもう一点、この共同研究についてはできるだけ公開の議論の場をつくっていこうと考えています。
 今回も日本図書館協会のメーリングリスト等にも掲載させていただきましたが、この場にはかなり広い範囲の館種の方々、あるいは教育にかかわっている方々がおいでだと思います。
 ぜひ、こういう問題について広い範囲からご意見をいただければと思います。