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公開シンポジウム記録
図書館情報専門職の現在
--LIPER研究班の中間報告--

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U-2.公共図書館班からの報告(報告者:小田光宏)

根本
 続きまして、公共図書館班の報告を青山学院大学文学部教授、小田光宏さんからお願いいたします。

小田
 特にパワーポイントなどは使いませんので、お手元の資料を見ていただきながら、それに対する説明を加えたいと思います。資料は5ページから7ページです。
 公共図書館班では、本年度は公共図書館の職員を対象にした調査を実施していますが、その背景となる活動の概要及び目的等について、最初に説明申し上げます。
 目的は、公共図書館職員を対象にした調査に基づいて、現行の図書館情報学教育の改善に資する知見を得ることとしています。
 教育と申し上げていますが、主たる関心は知識ベースといいますか、すなわち職員に必要な知識あるいは技術が何であるのかということを明らかにしていく。
 その結果を基にして、それを養成する教育のカリキュラムを改善できるのではないか。
 そのような問題意識並びにアプローチをしています。したがいまして、教育の改善と申し上げても、直接、制度的な面での改善を提言するという形では、我々の班の活動としては設定していません。あくまでカリキュラムの点での改善を目指すということが中心になっています。
 「2.活動の概要」です。
 そこに記されているように、今日が2004年9月ですので、現在、実査を行っているところになります。
 これまでにインタビューによる予備調査、調査票・質問紙による予備調査と、予備調査として2回行って現在に至っています。
 ただ、背景が一つあります。
 1989年から1991年にかけて、東京大学で当時、教授であった長澤雅男先生が研究代表者となって行ったプロジェクトがあり、そこで取り扱われた調査の質問紙をたたき台にして、現在の調査を行っています。
 実はこのプロジェクトは図書館学教育、公共図書館、大学図書館という三つのグループに分かれて実施されまして、図書館学教育と大学図書館に関してはその結果が公表されていますが、公共図書館に関しての調査結果は未公表ということですので、実際にこの調査の結果をご存じの方は極めて少ないと思います。
 私たちはそちらの資料を入手しまして、それをもとにということにしましたので、これからの調査結果の公表に際しては、その当時の結果も含めた形で公表することを予定しています。
 「3.実査概要」ですが、まず調査対象自治体の選定を行いました。これは『日本の図書館』の最新年版から人口規模別に、10館ごとに系統抽出を行っています。
 合計として、「175館」と書きましたが、「175自治体」ということになります。175自治体の中央図書館を対象に調査票を送付するというやり方をしました。
 対象図書館職員は、専任職員及び週40時間勤務の非常勤職員を対象にして、回答を依頼しています。郵送による調査で、回収もまた郵送で行っています。ちなみに、昨日段階で175自治体中33館、回収されています。
 今、約5分の1の回収率に至っています。来週が締め切りですので、これから先、さらに増えていくものと期待しています。
 「4.調査項目」ですが、フェイスシートと技能項目に関する質問、その他自由記述という構成になっています。
 この中でとりわけ重視しているのは、6ページの「c.技能(知識・技術)項目」に関しての設問です。
 「ア・資料組織(目録・分類)」から始まりまして、7ページの「メ.その他」まで続いていますが、これらの項目に対して、二つの形式の設問を用意しています。
 二つと申し上げましたが、それが6ページの「b.技能(知識・技術)項目に関する質問の観点」に記されています。
 すなわち、ここに挙げたアからメの項目に関して、現在の公共図書館職員に必要な知識・技術としての重要性を4段階評定で尋ねています。
 もう一つは、「特に重要だ」、あるいは「重要だ」とした項目について、養成の機会は教育上行うのが望ましいのか、それとも実務の現場で行うのが望ましいのかという設問を用意して、二者択一で尋ねています。
 こうした設問ですが、昨日段階では数が少ないので集計として意味を持つものになっていません。
 したがいまして、本日ここで具体的な結果を公表するというわけにはいかないのですが、それではせっかくのシンポジウムがもったいないと思います。
 ですから、8月に予備調査を行った際の結果が出ていますので、そちらの中から、ごく一部ですが、ご披露して、検討の材料にしていただければと考えています。
 予備調査に関しての概要は、7ページの5番の項目になります。
 対象としては、予備調査ですので、協力が得られるところを選定しています。
 ですから、地域的には北のほうが少なくて西のほうばかりというように見られるかもしれません。
 予備調査ですので、質問項目などの意見聴取を行ったりもしましたが、結果的に予備調査前と実査に当たっての調査票の変更はごく軽微なものにとどまっており、大枠といいますか、趣旨は変更ございません。
 併せて、いろいろな意見を求めまして、そこから幾つかの観点を拾い出すことができました。
 後ほど時間があればそれについて触れたいと思いますが、まず予備調査で、先ほどの知識・技術の項目がどのような傾向になっているかということをお示ししたいと思います。
 予備調査では、最終的に対象人数47名分の調査結果が手元にあります。
 それをすべて申し上げると非常にややこしくなりますので、現在の公共図書館職員に必要な知識・技術としての重要性に関して、「特に重要だ」と評定された方の人数、割合を算出し、それを上位から下位に並べてみたらどうなるかということをやってみました。
 その結果、47人中、「特に重要だ」がトップに来る項目は「イ.レファレンスサービス」で34名、70%ほどでした。
 続いて、32名が「キ.情報検索」。続いて、同点が3項目ありまして、28名が「ツ.コンピュータ・インターネットの利用」「ト.著作権」「ハ.接遇」です。
 さらに続けますと、27名が「ウ.資料選択・蔵書構築」。そしてやや離れますが、24名が「ヌ.個人情報保護」。
 そして、23名が「カ.貸出サービス」。
 このように並んでいます。
 以下、「その他」は除いていますが、最後まで並ぶことになります。
 レファレンスサービス、情報検索が最上位に来るということで、一つの傾向が明らかにされそうだということは予測されます。
 あるいは、「ト.著作権」や「ヌ.個人情報保護」という項目は、社会的状況、時代的背景が公共図書館職員の意識の中にも深く入り込んでいるということを認識することにつながるかと思われます。
 さらには、「ハ.接遇」というところが、公共図書館の職員の知識・技術として「特に重要だ」という指摘があることについては、実は私たちも予備調査の段階でここまではっきり出るとは思っていなかったこともありまして、非常に特色のあるところが出てきたのではないかと思われます。
 これが実査でも確認できれば、一定の見解を表明することができるかと思います。
 その一方、「特に重要だ」という項目としては、予測していたよりもちょっと低めだと思われるものがありました。
 「特に重要だ」と「重要だ」を合わせれば、もう少し増えるのかもしれません。
 そのあたりは分析の仕方によりますが、それでも少し意外といいますか、少なめだと思われたのは、例えば「ケ.児童サービス」で、21名。
 「ア.資料組織」は結構頑張っているという印象で逆なのですが、20名。
 それから、「ク.図書館の自由」は18名。
 「コ.障害者サービス」となりますと、15名。予備調査の結果としては、そのあたりに並んでいます。
 今、上位のほうから見てきましたが、一番下のほうはどういう項目が並ぶのかということをお示しします。
 最下位は「タ.集会活動」です。会場で意外だという反応がありましたが。
 下から2番目は「ス.図書館史」です。もう一つ上まで行きますと、「フ.社会調査・統計学」。そういう状況です。
 ちなみに、「特に重要だ」ではなく、「重要ではない」を選んだ方は実は大変少ないのです。
 「あまり重要でない」くらいまではちらほらとあるのですが、「重要ではない」は極めて少なくて、数としても、延べで14人といいますか14項目分といいますか、それだけなのです。
 しかし、集会活動は5人の方が「重要ではない」と。
 それから、図書館の自由、図書館史に関しては、2名の方が「重要ではない」と回答しています。
 そのように、予備調査の段階で複数の方が「重要ではない」と回答しているということに関しては、少なくとも実査においては注目していかなければならないと受け止めています。
 予備調査では、技能項目に関してこのようなところが読み取れます。
 残り、若干時間がありますので、予備調査における意見を踏まえての若干のコメントを申し上げて終わりとさせていただきます。
 7ページの5番の「b.調査の骨子」と「c.意見の概要」というところに関係します。
 質問紙の調査、あるいはその前のインタビューなどを行いまして、我々が感じ取っているところとしては、図書館情報学教育、とりわけ、公共図書館ですので、司書養成、あるいは司書資格に関しての正確な仕組みが公共図書館の職員に必ずしも理解されていないということです。
 例えば単位数という話が出てきますが、単位数が多い・少ない、両方の意見があります。その場合の単位数というのも、単純に表面的な20単位という数字が出てきます。
 教育の担当者ならばどなたでもご存じですが、20単位というのはあくまで表面的なものであって、実質上は時間数で計算しなければ、教育の時間というものと整合しません。
 したがって、そのあたりの認識というものが、必ずしも公共図書館の職員すべてに伝わっているわけではない。
 そのような問題点が感じ取れています。
 同様のことが幾つかありますが、後ほどの討論の中で取り上げることもあるかと思いますので、報告としてはここまでとさせていただきます。
 ありがとうございました。

根本
 ありがとうございました。