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公開シンポジウム記録
図書館情報専門職の現在
--LIPER研究班の中間報告--

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U-4.学校図書館班からの報告(報告者:堀川照代)

根本
 報告の最後になりますが、学校図書館班の報告を島根女子短期大学教授、堀川照代さんにお願いしたいと思います。

堀川
 パワーポイントはありませんので、要旨の10ページからをごらんください。
 学校図書館班では、LIPERの目的を把握した上で、学校図書館担当ということで、現代の高度情報社会において生きる力をはぐくむ教育全般を支える学校図書館の専門職とはどのような役割を果たすべきか、その養成にはどのような教育のあり方が適切か、そして最後のところで、できれば専門職養成のカリキュラムまで含めて検討・提案することを目的としています。
 現在、私たちの班もアンケートによる全国調査が終わったところで、集計中です。
 その全国調査の結果は11月の学会で概要を発表させていただきたいと思っています。
 今日のところは、全国調査に至るまでの背景的なところを中間報告として報告させていただこうと思います。
 先ほど公共図書館班、大学図書館班のご報告の中にあったように、東京大学で1989年から1991年までに調査が行われていました。
 それは図書館学教育と大学図書館と公共図書館の三つの班に分かれていたというお話がありましたが、残念ながら、その当時は学校図書館に関する研究がありませんでした。
 そのことからもわかるように、学校図書館を対象にした研究は、現在までのところはまだまだ少なく、蓄積がありません。
 それは、裏を返せば学校図書館の業務の実績がないといいますか、1953年の学校図書館法には「学校図書館の専門的職務を掌らせるため、司書教諭を置かなければならない」と述べられていたにもかかわらず、1997年の学校図書館法の改正があるまで、司書教諭が置かれていないところがほとんどであったという実情があります。
 学校図書館を研究するに当たって、背景となる現状について少しだけ述べさせていただきたいと思います。
 この学校図書館法の改正により、2003年4月以降、司書教諭が12学級以上の学校に配置されました。
 しかし一方では、全国で40%余りに当たる11学級以下の学校では、司書教諭が不在のところが多いですし、司書教諭が発令されたといっても、専任ではなく、教科や学級を持ち、クラブ活動の指導に当たっており、とても忙しいという状況があります。
 司書教諭講習では、2002年度までの経過措置として、4年以上の学校図書館の実務経験者には「学校図書館メディアの構成」という1科目2単位で司書教諭の資格が取れました。
 2年以上の実務経験者は、「学校図書館メディアの構成」と「学校経営と学校図書館」という2科目で資格が取得できました。
 残りの科目が開講されていない司書教諭講習の会場も大変多かったのが事実です。
 大学で司書教諭資格を取る学生は、司書資格との振りかえがありましたので、司書教諭として専門的に科目を学ぶという実状にはとても貧しいものがありました。
 それから、現場の必要に迫られて、いわゆる学校司書が配置されてきましたが、制度化している自治体もあります。
 2003年6月の調査では、高校の86.2%、中学校の37.1%、小学校の37.%に配置されている状況ですが、司書教諭の発令によって、自治体によっては学校司書の採用を中止したところもあります。
 学校司書の実力のレベルも個人によってさまざまですし,司書教諭と学校司書との職務分担をどうするか、検討が行われているところもあります。
 このように、学校図書館というのは2003年4月以降にやっと法的には担当者が配置されたという状況です。
 先ほどの公共図書館や大学図書館はまず知識ベース、専門職としてどのような知識や技術が必要かということを目的に調査をするということでしたが、私たち学校図書館班では、まずはそういう現状を整理・分析して、今後における学校図書館の専門職像というものを見分ける必要があるというところからのスタートになりました。
 学校図書館班のメンバーの中でも、学校図書館に関して、あるいは専門職像のイメージといいますか、そのあたりの認識はさまざまです。
 まず私たちの中で明確にさせていった点として、以下のようなものがあります。
 まず、学校図書館は学校に単に併設されている図書館ではないということです。
 当然ではありますが、きちんと言葉で確認した上で始めました。
 学校という教育機関に内包されている図書館である。
 学校の教育目標の達成に欠かせないものである。
 したがって、学校図書館及びその専門職は教授法や学習の形態及び学校図書館を基盤とした教育、あるいは学習活動との関連において論じられるべきである。
 これが大前提です。
 そして、本研究では、先ほど述べましたようなさまざま問題を抱えた現状及び現行の司書教諭制度というものがありますが、それに影響を受けることなく、学校図書館専門職としてのあるべき姿、望ましい姿を追求していくということを共通認識としました。
 したがって、現行の「司書教諭」という言葉を用いず、望ましい学校図書館専門職像として私たちは「学校内情報メディア専門家」という仮の名前を与えて、この専門職について考えることにしました。
 そして仮説として、学校内情報メディア専門家とは、学校現場で従来、学校図書館、あるいは視聴覚、情報など、情報やメディアにかかわって設けられていた校務分掌を統合して担当する専門職ということを想定しています。
 これまでの学校図書館イコール印刷資料というイメージを超えたもので、学校図書館に軸足を置くのではなく、学校全体の見地から情報やメディアの整備、あるいは指導ということに大きくかかわるものを考えています。
 そのために、情報やメディアの専門領域の研究者からご意見を伺うことにしました。
 現在、教育改革ということが叫ばれてはいますが、そうした中で学習情報センターとしての学校図書館、あるいは司書教諭の役割について、どうも言及されていないのではないか。
 したがって、我々の研究の進行状況に合わせて、できる限り情報発信をしていくことが必要ではないかということで、来週、日本教育工学会においてもこれまでの研究を発表することになっています。
 それから、全国学校図書館協議会などとも連絡を取り合い、情報提供をしたり受けたりしています。
 学校図書館専門職の養成内容の基盤となるものは、大学図書館や公共図書館の司書養成の基盤となるようなものと共通のものがあるのではないかということも初期の段階で話し合っています。
 そして調査に関しては、基本データはSLA(全国学校図書館協議会)や文部科学省で行った既存の調査結果を参考にします。
 また、司書教諭の養成に関する調査は先ほどの教育班に依頼するということを行っています。
 実際にどのような研究を行ってきたか。
 1年目は、グループ全体で厚木市の小学校及び中学校の現場を見せていただき、そこの学校の司書教諭とお話をし、授業を見学するということで、現場を共通認識することから始めました。
 次には情報教育、メディア教育、文教施策、各分野の5人の専門家にヒアリングを行い、私たちが考えている学校内情報メディア専門家に関してご意見を伺いました。
 その中では、これからの学校にはメディアに関する専門的知識を持った人が不可欠であるということ、メディアの技術者である必要はなく、ユーザーであればいいということ、そしてメディア及び情報の利用に関して、指導できる人が必要だというようなお話が共通に聞かれました。
 そして、今は教育情報化コーディネーターの試験が始まっていますが、これを制度化する方策もあるけれど、この財政緊縮の時代に新たな職種を新設することは難しいため、既に学校図書館法で規定され、配置されている司書教諭が時代の要請に合わせて、専門職として機能してくれれば望ましい。
 そうした動きが図書館情報学分野から出てくるようであれば、教育工学の分野からも応援するつもりであるというようなお話も伺ったように思います。
 こういうことをもとにして、今度は全国的なアンケート調査を行うということで、昨年度から今年度にかけて調査票の設計を行いました。
 調査票は回答者の属性及び所属校に関する質問が16問、学校図書館に関する職務の実施状況が101問、自由記述1問によって構成されています。
 学校図書館に関する職務の実施状況についての101問は、四件法による択一式の回答方法を用いています。
 この調査結果の概要については、先ほど申しましたように11月に発表させていただく予定です。
 そして、予備調査を5月から6月にかけて2回、行いました。「2年目の調査の概要」の(2)に、「本調査を6月に実施した」と書いていますが、7月1日づけで発送しました。
 日本全国の私立、公立、国立の小中高校の中から無作為抽出した1042校を対象に郵送して、8月31日現在、364通の回収があります。回収率は34.9%になっています。
 今後の予定としては、今年度、質問紙調査の分析結果を踏まえて、フォーカスグループインタビューを行う予定です。
 その中では、アンケートでは伺えなかった学習履歴、現在の仕事と資格取得のために学んだ知識のギャップ、現在の仕事に必要と感じる知識やスキルなどをインタビューの中から拾い上げていこうと思っています。

根本
 ありがとうございました。
 続けてコメンテーターにお願いする予定だったのですが、これだけ密度の高い凝縮されたお話を連続して聞くと、非常に疲れますね。
 私も疲れましたので、ショートブレークを取りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 時間としては、25分から始めるということで、7分ほどのブレークにさせていただきます。
 25分ピッタリに始まりますので、ご協力をお願いします。

〔休 憩〕